中間試験の初日、机に手紙が入っていた。
宛先も、差出人もない手紙。
ハートマークの封が貼られている。
もしやこれが噂に聞くラブレター?
存在していたのか!
僕は早速開けようとした。
だが、前の席のイケメンが待ったをかけてきた。
「お前な訳ないだろう。鏡見てみろよ」
……確かに僕はブサで弱男だ。
フォークダンスだと、手を繋がれない率安心の100%。
班決めでは必ず余りとなり、仕方なく引き取られると女子がクソデカため息を漏らす。
僕なんかに好意を持つ女性はいないだろう。
イケメンは言う。
「それは他の席に入れるのを間違えたのだろう」
その通りだと思う。
ありがとう、イケメン。
お陰で他人のラブレターを開封せずに済んだ。
僕は教室後ろの黒板にマグネットで手紙を固定した。
そして、黒板にチョークで
『入れ間違い。回収願う。テスト最終日に廃棄します 風波野』
と書いた。
これで万事解決。
──とはならなかった。
結局、手紙はそのまま捨て置かれた。
テスト最終日、僕は手紙を廃棄することにした。
よせばいいのに、開封して中身を読んでしまう。
『風波野君へ。 今日テスト終わったら屋上へ来てください』
そう書いてあった。
行ってみたよ。3日遅れで。
誰も、いなかったよ。
帰路、心が砂糖菓子みたいに飛び切り甘い話を欲した。
WEB小説サイトを開き、いつもは読まないような超甘甘恋愛物を読むことにした。
<了>
……長編執筆の憂さ晴らし? として書いてみましたが、悲しくなったので没としてここに供養します。