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MVP:耳栓

 こんな話とビーチバレーの話を描いています。
 ビーチバレーは8月終わるまでに仕上げたいな!!
 プレビュー↓


 ラメン=ハンは腕を組み、川山を見つめる。
「いい加減にし給え、川山。君の栄養理論は正しいが、店に対するリスペクトが足りない。この店が毎日、どれだけのキャベツを消費しているか考えてみろ。この千切りを機械に頼らず、手作業で行っているとしたら、それだけで職人の人件費がどれほどかかっているか。原価率と回転率を維持しながら、この品質のキャベツを『おかわり自由』で提供する企業努力を、君はちょっとはリスペクトしてくれ」
「ハンの言う通りだ」
 川山が少し息を吹き返したように言った。
「努力は認める。だが、それによって栄養が失われては本末転倒だと――」
 そこで、カーラが再び耳栓を外した。


 彼女はラメン=ハンを真っ直ぐに見つめ、静かに告げた。
「わたしは今日、あなたの話を一言も聞いていない」
「…………」
 ラメン=ハンの動きが止まった。
 彼の自慢の黒髪が、一瞬、風もないのに小さく揺れたような気がした。
 テーブルに、先ほど以上の静寂が満ちていく。
「……」
「……」
「……」
「……」
 誰も口を開かない。沈黙が重くのしかかる。


「……カーラ」
 シルフィードが、気まずそうに小声で囁いた。
「何だ?」
「それは流石に正直すぎるよ。ハンさん、すごく熱心にビジネスモデルの話をしてたのに」
「だが料理は美味かった」
 カーラはどんぶりの中の最後の一片を綺麗に平らげ、川山とハンを交互に見つめた。
「だから礼を言う」
 その言葉に、川山米太はしばらくの間、自分の空になった皿を見つめて考え込んだ。
 彼は眼鏡を外し、眉間を軽く揉む。
「……まあ……」
 川山はぽつりと言った。
「料理をちゃんと食べてもらえたならいいか。残さずにね」
 その意外な物言いに、ラメン=ハンが目を丸くした。
「あれ?  川山さん、意外と大人ですね?  もっと怒るかと思いましたよ」
「普通だったら今頃テーブルがひっくり返ってますよ」
 サミュエルが冷や汗を拭いながら言った。
「そして『この程度の耳栓で私の思想を防げると思うな!』くらい言いそうだと思ってました」
「僕もそれを警戒していた」
 クロードが安堵の息を漏らす。


 ブラックヴァルキリー・カーラは満足そうに頷き、耳栓を専用の小さな革ケースに戻した。
「つまり――」
 彼女は人指し指を立てる。
「川山米太は耳栓一個で対処可能。ラメン=ハンには耳栓二個でも足りない」
「結論出たな」
 ヤヌが肩をすくめて笑う。
「ラメン=ハンが最強の敵じゃない。物理的な障壁を超えてくる説教なんて、災害以外の何物でもないわ」
「恐ろしい男だ」
 カーラが本気で警戒するような目をハンに向けた。
 ハンはただ、不満そうに髪をなびかせることしかできなかった。

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