あ、最近(←5月のコンテスト)は海外でのコンテスト全部落ちてまーす!
結構海外の読者には好評だけど審査員の好みとは合わなかったみたい。
まあ、海外の好みにあわせるのって難しいからね~。笑いのツボも違うし。
地図
https://kakuyomu.jp/users/mrwhite/news/2912051598746803846 カイアスとアンリの衝突の様子。
世界からの転生者と令嬢と聖女を核ミサイル乱射の如く投入
これ。ガンダム00の終盤見た人なら想像しやすいと思いますが、大量のトランザム 置鮎さん みたいな感じです。
カイアス王国の女王、アイ=コウシャクレイジョウ=セイジョ=カイアス。その名は「聖女」を冠しながらも、中身は歪んだ欲望と傲慢の塊だと、アンリの騎士団では周知の事実だった。
海の向こう、筋肉国王オーヴァンが統治するヴァーレンス王国を屈服させようとして返り討ちに遭い、その八つ当たりを地続きの小国アンリに向けたのだ。道理などない。あるのは、ただ肥大した自尊心の欠片だけ。
「隊長! 東門が限界です! 異世界からの転生者と令嬢と聖女を核ミサイル乱射の如く投入してきました!」
伝令の叫びが、爆音に掻き消されそうになる。エレノアの瞳に鋭い色が宿った。カイアス王国の非道な戦術。
他世界から召喚した若者たちを「使い捨ての兵士」として最前線に放り込む。
彼らには強力なギフトが与えられているが、その命に尊厳はない。道具として扱われる少年少女たちの悲鳴が、戦場をさらに汚していく。
「……行くわよ。アンリの誇りを見せてやりなさい!」
エレノアは叫び、城壁を駆け下りた。
カイアス軍の後方本陣。豪華絢爛な天幕の中で、アイ女王は不機嫌そうに扇子を弄んでいた。彼女の足元には、怯えた表情の奴隷たちが跪いている。女王の関心は、すでに目の前の戦場にはなかった。彼女の脳裏にあるのは、自分を袖にしたヴァーレンス王国、そしてミハエル公爵への憎悪だ。
「ふん、アンリごとき、三日もあれば落ちると思っていたのに。しぶといわね。あの筋肉ダルマのオーヴァンも、ミハエルも……わたくしをコケにした報いを受けさせてやるわ。まずはその手足となるアンリを火の海にして、あいつらの顔が絶望に染まるのを見てやるのよ」
その傍ら、所在なげに武器を磨いている少年がいた。異世界転生者の一人だ。瞳には光がない。
「……また、人を殺すのか」
少年の呟きは、女王の冷徹な声に遮られた。
「何か言ったかしら? 給料は払ってるでしょ?」
少年は肩を跳ねさせた。
「いえ、何も……陛下のために、この『重力操作』の力、存分に振るって参ります」
女王は冷たく笑った。
「そう。道具なら道具らしく、壊れるまで働きなさい」
戦火のアンリ。エレノアは戦場を舞っていた。ジュエル・セイバーが空を裂くたびに、エメラルドの閃光がカイアス兵を薙ぎ払う。だが、眼前で爆炎が上がった。重力を操る転生者の攻撃。足元が急激に重くなり、石畳が沈み込む。エレノアは膝を突きそうになりながらも、剣を杖代わりに踏みとどまった。魔力は枯渇し、兵は疲弊し、備蓄も底をつき始めている。エレノアは懐から、一通の魔導書簡を取り出した。ヴァーレンス王国への、最後の祈り。
その時。頭上の空間が、ガラスが割れるような音と共に砕け散った。
「――おっと、そこまでだぜ、やっこさん」
烈風が吹き荒れ、重力の圧力を力技で弾き飛ばす。爆炎の中から現れたのは、漆黒の鎧を纏い、炎と氷の二剣を構えた男、フレデリック=ローレンス。続いて、空中に浮遊する銀髪の魔術師、アリウス=シュレーゲル。
そして、黒い翼を羽ばたかせて降り立ったブラックヴァルキリー・カーラ。
最後に、黄金の唐草模様が施された黒のコートを翻し、一人の男が静かに歩を進めてきた。
「ミハエル……公爵……」
エレノアの声が震える。ミハエルは、混乱の極みに達した戦場の中心に立ち、不敵な、それでいてどこか人を食ったような微笑を浮かべた。
「アンリのビールを守るために、少しばかり掃除をしようか」
ミハエルの号令と共に、ヴァーレンスの化物たちが動き出した。フレッドの二剣が閃き、アリウスの「オーラキャノン」がカイアスの後方陣地を沈黙させ、カーラの黒槍が精鋭を散らしていく。
その圧倒的な力の奔流の端で、一人の男がひょうひょうとした足取りで歩いていた。
エウメネス。書記官にして戦略の帝王。彼は、崩れ落ちたカイアス軍の陣形を冷めた目で見つめていた。
「……ひどいな。これは戦略とは呼べない。ただの暴力の押し付けだ」
エウメネスは、倒れ伏したカイアスの指揮官を一瞥し、鼻で笑った。彼の言葉は、戦場全体の喧騒を切り裂くように響く。
「きみの戦略は、根底から腐っているよ。数に頼り、未知の力を使い捨てにする。
そんなものは、後世の歴史家が一行で片付けるような愚行だ。
たとえば、カイロネイアの戦いを思い出してみるといい。
フィリッポス2世はマケドニアの重装歩兵と騎兵を完璧に連携させ、テーベの神聖隊――リア充で構成されたリア充騎士団を壊滅させた。そこには『目的』と『必然』があった。だが、きみたちのこの侵攻には、私怨以外の何もない。
戦略とは、勝利の後に何を残すかを設計するものだ。
更地を作るのが目的なら、子供の火遊びと変わらないね」
エウメネスの淡々とした「ダメ出し」に、カイアス兵たちは言葉を失った。異世界転生者組の少年も、自分の「重力操作」がフレッドに一蹴された衝撃と、エウメネスの放つ冷徹な知性の重圧に、ただ震えるしかなかった。彼は、自分の存在が歴史の中で「名前すら残らない塵」であると突きつけられたような、言いようのない虚無感に襲われていた。
ミハエルは、エウメネスの言葉を興味深そうに聞いていた。彼は一歩踏み出し、戦場に漂う血生臭さを消し去るような霊波動を放つ。
「エウメネスくん。相変わらず厳しい。……ところで、以前から気になっていたんだが、きみ自身はどうだったんだい?
たとえば、きみのいたあのディアドコイ戦争。アレクサンダー亡き後の、あの血で血を洗う権力闘争。きみはその中で、どんな『必然』を見出して戦っていたんだ?」
ミハエルの問いに、エウメネスは一瞬だけ、遠い目をした。その瞳の奥に、かつてのマケドニアの砂塵と、王家の守護者として過ごした孤独な日々が過る。彼は、手に持っていた羊皮紙を軽く丸め、自嘲気味に口角を上げた。
「ぼくかい? ぼくは……ただ、本を読みたかっただけさ。あの混乱の中で、唯一の『誠実さ』を見つけようとしていただけだ。
……結局、ぼくの戦略も、史実じゃ裏切りという不確定要素には勝てなかったようだけれどね。
だが史実じゃない僕はここにいる。
少なくともあいつらのような『無意味な殺戮』はしなかったつもりだよ」
エウメネスの言葉には、何世紀もの時を越えた重みがあった。その告白を聞いたアリウスは、静かに頷く。「情報は、歴史という名の器の中で濾過される。エウメネスさん、あなたの歩いた道は、決して無意味ではなかったはずだ」
一方、カーラは退屈そうに鼻を鳴らした。
「そんな昔の話はどうでもいい。それより、この震えている連中をどうするんだ? ミハエル。殺すのは容易いが、魂の価値もなさそうだぞ」
カーラの言葉に、転生者の少年は身を竦めた。彼は、強大な魔力を持つアリウスと、圧倒的な武力を持つカーラ、そして理解不能な深みを持つミハエルとエウメネスに囲まれ、自分の持っていた「最強のギフト」が、いかに浅はかな玩具であったかを痛感していた。