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サリサvsアンドロイド

スマホのアンドロイドじゃなくって。
https://www.seaart.ai/ja/postDetail/d7iptode878c73fsgik0
フレッドの鎧が飛行機に変形を目指したが、不完全な変身。もっとZガンダム的な飛行機への変形を普通の人間サイズでやりたかったのよ~。
下の絵はサミュエル=ローズ。身長160cm。
ルルメール編プレビュー↓


 サリサのしなやかな影が隣の車両へと消える。そこは、先程までの食堂車両の緊張とは質の異なる、生々しい恐慌が渦巻く空間だった。乗客たちは壁際にへばりつき、恐怖に引きつった顔で一点を見つめている。その視線の先、車両の中央に、異質な存在が立っていた。
 すぐにわかった。あれがアンドロイドだ。他の乗客たちが放つ恐怖や混乱の霊気の濁流の中で、その一体だけが、不自然なまでに霊気の流れが「無」だったからだ。真空地帯。存在しているのに、生命の地図からは綺麗に消し去られている。
 そして、その走り方。独特だった。腕をだらりと後ろに流し、上半身をほとんど揺らさずに滑るように進む。それは効率的で、無駄がなく、そして決定的に人間離れしていた。
「忍者走りみたい。腕後ろに流してさ。エルフ忍者のレティチュちゃんみたいね」
 サリサは、怯える乗客たちを背に、ゆっくりとアンドロイドへと歩み寄った。その金銀妖艶の瞳が、獲物を検分するように細められる。
「あと目の瞳孔の部分。アンタやんわり赤く光ってるね? それ、赤外線視覚っていうの? 蛇みたいに温度で感知すんの? 蛇人間ロボット!」
 挑発的な言葉を吐きながら、サリサはすっ、と姿勢を低くした。背骨をしなやかにしならせ、指先が軽く床に触れる。それは紛れもなく、狩りを開始する直前の大型ネコ科猛獣の構えだった。
「サーモグラフィーみたいなの出てるんでしょ? アンタの目にはさ」
 彼女は挑発を止めない。言葉の一つ一つが、相手の反応を引き出すための鋭い針だ。
「何かしゃべったら? 喋れないの? アンドロイド?」


 その軽快なやり取りは、壁一枚隔てた食堂車両まで、ミハエルの研ぎ澄まされた聴覚にはっきりと届いていた。
「言葉で敵を攪乱し、その本質を探る。彼女の得意技だ」
 ミハエルが、まるで愛弟子の晴れ舞台を観るかのように、口元に愉しげな笑みをこぼした。彼の視線は、目の前のジャスティンの反応を窺っている。
 対するジャスティンもまた、その芝居がかった眉を興味深そうに上げ、目を細めていた。彼にとって、これもまた自らの作品の性能を披露する絶好の機会なのだろう。その表情には、自慢の猟犬の働きを眺める飼い主のような、満足げな色が浮かんでいる。
 サリサの挑発に、アンドロイドの赤い瞳が一瞬、ノイズが走ったかのように揺らめいた。そして、機械的な合成音声でありながら、どこか長年酷使された機械のような疲れた響きを伴う声が、車両全体に静かに、しかし明瞭に響き渡った。
「お前は普通の人間ではない」
 その言葉を聞いた瞬間、ミハエルは内心で感嘆の息を漏らした。霊気の有無だけでなく、サリサが放つ存在そのものの特異性を、この機械は瞬時に看破した。ジャスティンの技術力は、侮りがたい。
 しかし、その指摘を受けたサリサは、まるでくだらない冗談を聞いたかのように、鼻でハッと笑い飛ばした。
「ハッ! 一番古い人間よ。宇宙できて間もない頃、男の天照と嫁と息子とが人間って生き物どうやって作るか遺伝子で編み物して四苦八苦してた頃にわたしは生まれた。わたしたち、干支の一族はね」
 その途方もない、神話の時代を直接見てきたかのような言葉。食堂車両に座るミハエルとジャスティンの視線が、テーブルの上で鋭く交錯した。ジャスティンの余裕綽々だった笑みが、初めてほんの僅かに、硬直する。
 最も古い人間。それは、このホワイトライガーの因子を持つ少女が、単なる戦闘能力の高い獣人などではなく、もっと根源的な、神々の時代の息吹をその身に宿す存在であることを、何よりも雄弁に物語っていた。
「それよりあんた、なんていうか……お酒飲みすぎて声枯れちゃったおじちゃんみたいな声ね。喉休めたら? ――って、アンドロイドか。んじゃあ今のなしで」
 サリサは、自らの暴言をシニカルな口調で無造作に自己修正する。その一見ふざけた態度に、ミハエルは軽く眉を上げた。だが、彼女の言葉は確実に、このアンドロイドの性能と、その裏にあるであろう「欠陥」を探り当てようとしていた。
「最も古い人間か……」
 ミハエルは静かに呟く。
「神話と科学の狭間にいる彼女らしい言葉だ。人間が自らを規定する意味を持つように、
 『普通ではない人間』
 という言葉には、その『普通』という概念がどこにあるのかを問う強い力がある」

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