〜密告について〜
翼「鑑真は、1回目と3回目、4回目、密告により渡日を失敗しておる。」
羽 航「弟子が密告したんだろ? ひどいな。」
翼「鑑真は、高名な僧で、4万人以上の僧侶に具足戒をさずけてきた戒律の師であったから、唐から出て欲しくない、と、彼を惜しむ者も多かったのじゃ。」
羽 航「そうか………。」
〜嵐について〜
翼「6回目で日本に着いたのじゃが、スンナリとはいかなかった。
遣唐使第二船(⑥)は、11月16日、蘇州を出航。
11月21日、阿児奈波島(沖縄)につき、途中暴風にみまわれながらも、奄美大島、益救島(やくしま)を経由し、12月20日、薩摩国阿多郡《あたのこほり》秋妻屋《あきめや》浦に漂着したのじゃ。」
羽 航「阿児奈波島(沖縄)から薩摩国にたどり着くまで、かなり日数がたってるな。」
翼「そうじゃ。暴風にあい、漂流したのじゃろうな。
鑑真は、2回目、5回目、6回目、計3回、海上で嵐にあっておる。」
羽 航「そんなに………。日本に生きて辿り着けたのは奇跡だな。」
翼「同感じゃ。」
〜総括〜
翼「鑑真の日本行きには多くの弟子が付き従った。
三師七証の人数が必要じゃったからな。
あしかけ12年の渡日の試みのなかで、鑑真のもとを去って行った同行者は200人以上、命を落とした同行者は36人と言われているのじゃ。」
加須 千花「東大寺には、鑑真大和上の築いた戒壇が今も残っています。
鑑真大和上は来日し、5年、東大寺に住んだあと、唐招提寺を開き、そこに住んだそうです。」
〜おまけ〜
羽 航「………なあ、加須 千花、オレたち、阿児奈波島にたどり着いたり、海南島にたどり着いたりしないよな?
このヘッタクソな海図を見てたら不安になってきた。」
加須 千花、無言で脱兎のごとく逃げる。
羽 航「あっ、待て!」
加須 千花と羽 航、追いかけっこをしながら舞台袖に消える。
翼はため息をつきつつ、ヘッタクソな海図をくるくる巻いて、後片付けをするのであった。
翼「ワシ一人に片付けさせおって。郷党尚歯(年寄りを尊べよ)!」
