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前世催眠♡裏話 その4 幻のエンディング

 コントラクトブリッジ~(挨拶)こんばんは~。

 気づいたんですが、挨拶してから「こんばんは~」って言ってるので、最初の挨拶の意味ないですね。


 現在の最新作(↓)を公開して1週間経ちました。

キミのことが好きすぎるヤンデレ先輩と前世催眠♡恋旅路
https://kakuyomu.jp/works/16818792439027868558


 最終話が6PVなので、6人ほどエンディングまでたどり着いていただいていますね。ありがてえ……。未読の人はエンディングまで急げ!!!

 今回はその6名様向けに、幻のエンディングを公開しちゃいましょう。ほかの人もエンディングまで読んでから読んでね。
(そこ、ボツネタ流用とか言わない)

 その前にこのエンディングの背景について、説明をば。

 本作、プロット段階ではエンディングがふたつに分岐する予定でした。「あなた」が「先輩」の前世の記憶を「真実」と判断するか、「嘘」と判断するかで分岐し、「真実」を選ぶと現在の【エンディング】、「嘘」を選ぶと今回紹介する【フェイクエンディング】に移行するシナリオでした。

 なんでこんなことしようかと思ったかというと、ASMRって、「あなた」とリスナーさんの距離が近いメディアなので、リスナーさんに介入できる部分を入れておいた方が面白いかなと思ったからです。(去年のこえけんでもエンディング分岐している作品ありましたね)

 ただ、今の【エンディング】はハーレムエンディングなのに対し、【フェイクエンディング】は先輩のみを掘り下げるエンディングで、ちょっと地味だし、先輩のつらい過去に触れる内容なので「癒し」のコンセプトに合わないなということで、没になりました……。
 電車の通過音を伏字に使うの、結構気に入っているんですけどね。映画の「ChaO」で工事現場の音を伏字に使っていたのがめちゃくちゃおしゃれだったので、真似したかったんです……。

 では、幻の【フェイクエンディング】ですが、ちょっと今の流れとは変わっているので、少し説明の後、タイトル、本文です。では、お楽しみください。アデュー♪

前説明:
 【2日目】に先輩にキミが運命の相手だと告白されたあなたは、前世の記憶の真贋を確かめることにします。それが、真実であれば「青」の封筒、嘘であれば「赤」の封筒が先輩の愛の告白への答えだとして、先輩に両方の封筒を渡しました。【3日目】の前世催眠の後、先輩にどう思ったのか聞かれたあなたが、前世は嘘だと思ったと答えたところから始まります。


タイトル:
 【赤の封筒】「嘘つきでXXXなボクだけど……」 ~ヤンデレ先輩の通学路~


本文:
// 放課後のオカ研の部室、時計の音が聞こえる。

赤の封筒……。
キミはボクとの記憶が|嘘《フェイク》だって言うんだね……。

っ……!!

// 先輩が逃げるように部室から走り去る。
// あなたは追いかけようとするが机に足を取られて転んでしまった。
// 遠ざかっていく足音。



// 高架下の公園、電車の音がカタンカタンと遠くに聞こえ続ける。
// ブランコの揺れる音。

キミ、どうして、ここに……?

そっか、覚えててくれたんだ。ボクのお気に入り。
でもさ、もういいんだよ。
ボクは噓をついてまでキミに好かれようとした気持ち悪いヤツなんだ。

// キィキィとブランコが揺れる。
// 近くの踏切の警報音が聞こえ始める。

// 泣きながら
違う? 何が違うんだよ。
前世なんて嘘っぱち、ボクがキミに気に入られようとして付いた嘘なんだよ。
行き倒れのお侍さんに心ひかれた巫女さんも、
お付きの騎士に恋してしまったお姫様も、
勇者と一緒に世界を救ったエルフの癒し手も、
全部全部、嘘。まやかし。

// 自棄を起こして叫ぶように
ボクは小さなころからそうだった!
空想と現実の違いが付かなくて、
みんなから気持ち悪い子だと言われたし、
友達もできなかったし、XXXも、XXXだって……

// 先輩の自暴自棄の告白は、電車の通過音でかき消される。

……忘れちゃいたいって思った。
こんな、嘘か本当かわからない前世の話なんて!
なんでボクばっかり、こんな思いするのさ……。
前世の運命の人のことを考えると、
寂しくて、胸が苦しくなるんだよ?
それだけでも、悲しくて切ないのに!

// 踏切の警報音が止む。

// 叫ぶだけ叫んで落ち着いて
でもね、今年の春、入学式の日にキミを見かけて、
ボクは、ようやく、ボクの記憶のことが好きになれたんだ……。
こんなにすてきな男の子と、この記憶がめぐり合わせてくれたんだって……。
でも、キミは違うって言うんだよね……。

え? 違う?
違うのが違う……? どういうこと……?
え、封筒……? あ、ずっと、手に持ったままだったから……。

『|嘘《フェイク》』だから、赤の封筒を開ければいいんだよね……。

// 封筒を開く音。

えと……。
『俺も先輩のことが好きです。付き合ってください』……!?

え……どういう……こと?
キミがフェイクだって思ったってことは、ボク……だましていたってことだよ……。キミのこと……。

え? 青の封筒も開けるの?
こっちは、キミがボクの話を『|真実《トゥルース》』だと思ったほうだね?

// 封筒を開く音。

え……。
『俺も先輩のことが好きです。付き合ってください』……!?
……こっちも……同じ?

え? え?

// 先輩が立ち上がって、ブランコが大きな音を立てる。

キミのことが好きか……って?
……も、もちろん! 
ボク、好きだよ……。キミのこと……。
だって、前世の前世の前世から、キミのこと……。

……えっと、キミが誰なのかって?

うん。
キミはお侍様でも騎士でも勇者でもないね……。

……ボク?

うん。
ボクは巫女さんでもお姫様でもエルフの癒し手でもないよ……。

……『ボク』は、『キミ』が、好きだよ……。

// 何かに気づいたように
……『ボク』は、『キミ』が、好きだよ……。

// 興奮して
『ボク』は、『キミ』が、好きだ……。
『ボク』は、『キミ』が、好き……。

『ボク』は、『キミ』が、好きなんだ!
そう、そうなんだよ!

// ぎゅっとあなたの手を先輩が握る。

// あなたの正面、顔と顔がぶつかるほど近くで
朝、部室の窓から登校するキミを探すのが好き。
ボクに気づいて手を振り返してくれた時は一日頑張ろうって気持ちになるんだ。
お昼休み、中庭で昼ご飯を友達と食べてるキミを見るのが好き。
ボク、いつかキミにお弁当を食べてもらいたくて、練習しているんだ。
夕方、キミが下校するのを見るのはちょっと寂しい。
誰かと一緒だと、自分がぐちゃぐちゃになっちゃう。
そんな自分がちょっと嫌いなんだ。
それにそれに……。
キミと過ごす部室での時間が好き。
同じ空気を吸って、同じものをみて、同じ音を聞いているだけで、
ボクはとてもとても幸せな気持ちになるんだよ。

// 先輩があなたに抱きついて耳元で
そうだね。前世なんて関係なかった。
キミの言う通り。
ボクはキミが好きだよ。
今のボクが、今のキミを好き。
これからもずっとそばにいたいんだ。

// 沈黙 電車の音やや大きく

// 心臓の鼓動

ねぇ……。
キス……するよ……。

// 踏切の警報音が鳴り始める。

// 先輩があなたに寄り添う衣擦れの音

目、つぶってて……。
ボクだって初めてで恥ずかしいんだから……。

// 軽いキス

ふふ……。キス……しちゃったね……。

// 軽いキス

好きだよ……。

// 軽いキス

ずっと好き……。

// 軽いキス

頭がおかしくなってしまいそうなほど、キミが好き……。

// 長いキス
// 空気を求めて喘ぎながら唇を離す。

// 脳を蕩かすほどの甘い声で
はぁ……。
キミは、次……どうしたい?
ボクはね、キミが望むこと、全部したいんだ……。

// 少しの間の後、衣擦れ。
// 列車の通過音がすべての音をかき消し、終劇。

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