オーバーラップノベルスから発売予定のロボットバトル小説「機甲猟兵エルフリーデ」
https://kakuyomu.jp/works/16818093083904141219最強のヒロインが、4メートルぐらいの騎士ロボットでいろんな事件を解決していく感じの話です。
今回はクライマックスを迎えた7章の登場メカの設定なんかを乗っけていきます。
・〈アシュラベール〉L型
深紅の悪鬼。悪なる刃金。
Lはルミナス(光輝)型/リベルタス(自由)型のダブルミーニング。
身長4.5メートル、複合センサーである一本角込みで5メートル。
陣羽織を着た鎧武者を連想させる姿。
後発の新型バレットナイト――〈ヤークトドラッヘ〉との交戦を経て、残骸から回収された帝国製技術を導入した〈アシュラベール〉の改良型。
機体フレームは新造されており、サンクザーレ会戦での初運用から数えて2代目ということになる。
厳密に言えば〈アシュラベール〉の後継機ではなく、共通のフレームを使用した兄弟機である。
元々がオーバースペックという言葉を形にしたような機体だったため、あくまで実戦データを元に機能を追加した形に近い。
主な改良点は主機ジェットエンジンの出力強化/高エネルギー粒子を用いたアフターバーナーの追加、超音速飛行時の衝撃波(マッハコーン)対策、全身に追加された超振動ブレードによる白兵戦能力の付与、光変換型放熱機構の追加、レーザー式ジャミングシステムなど電子戦能力の向上、そして光波シールドジェネレータを応用したエーテル粒子サイドスラスターの増設である。
これは従来のエネルギーバリア発生装置に追加機能を施したもので、高エネルギー粒子をバリア表面で爆発させ、その反動を利用して横方向の推力を得る緊急回避ギミック。
これによってジェット推進による飛行中、急激な軌道変更が可能になった。
当然のごとくGは凄まじく、その負荷は最新鋭の高性能空対空ミサイルの旋回時のそれに匹敵する。
高速飛行中に使用すればそのまま墜落もあり得る試作装備である。
さらに全身に追加された放熱器と、それを前提とした高エネルギー粒子兵装――戦術兵装〈ソード・ムラクモ〉(後述)は、絶大な攻撃力を本機に付与したものの、その稼働時間の短さゆえにデッドウェイトになる時間の方が多い有様である。
ベース機となった改良型〈アシュラベール〉は、初期型に比べて多くの点で性能・機能が向上、十分に実用段階に達しつつあった。
それをある種、台なしにするような無茶な装備が取り入れられているのは、エルフリーデ・イルーシャという万年に一人の天才によって技術的限界を求め続ける開発陣の熱意の産物である。
武装Ver2.0
・頭部:複合センサー型ブレードアンテナ×1
・胸部ハードポイント:対装甲ナイフ・スティレット×2
・展開式エーテルパルス戦術兵装〈ソード・ムラクモ〉×1…対物ビームエミッターとその放熱ユニット群。
・背部ハードポイント:超硬度重斬刀(太刀)×2
・肩部固定装備:光波シールドジェネレータ(改良型)×2
・腕部内蔵兵装:自在軌道剣〈パイチェ・シュヴェールト〉×4
・腕部近接兵装:対装甲ブレード・レイザー×2
・腰部:電気熱ジェット・スラスターバインダー(改良型)×2
・脚部近接兵装:対装甲ブレード・レイザー×2…腕部のブレード共々、ハードポイントによってブレード部の交換は容易である。
4章で使ってたビーム大剣〈ソードヴァジュラ〉、5章で鹵獲した〈ヤークトドラッヘ〉のロケット推進技術、6章の〈マルドゥック・フリューゲル〉で使った大気整流技術を組み込んだ性能向上版。
カリッカリにピーキーされたモンスターマシン。
最初からエルフリーデの操縦を前提とした、事実上の専用機であり、〈アシュラベール〉系列機の頂点に立って先導し続けるもの。
・展開式エーテルパルス戦術兵装〈ソード・ムラクモ〉
通常型〈アシュラベール〉と改修型/リベルタス型の最大の相違点である試作戦術兵装。
〈ヤークトドラッヘ〉の残骸から得られた技術を元に、以前から存在していた戦術兵装プランを完成させ、試作機に組み込んだものである。
マリヴォーネ事件で使用されたビームデバイス=光波斬機剣〈ソードヴァジュラ〉の稼働データと、〈ヤークトドラッヘ〉の内部構造を参照して完成した。
竜の死骸から生まれた武器、という経緯から、旧世界の神話を元にクロガネが命名した。
使用時には〈アシュラベール〉L型の胴体装甲に接続されているエミッターコートを展開、圧縮・臨界状態となった高エネルギー粒子を解放。
これにより機体前面に高エネルギー状態のエーテル粒子を発振、接触した物質を粉砕・溶断する。
熱線砲や光波シールドジェネレータと同じエーテル粒子の制御技術だが、出力を極限まで強めることでその破壊的作用を増大させたもの。
バレットナイト前方に局所的にエネルギーの波が展開され、高エネルギー粒子で破壊の嵐をもたらす。
その稼働時には、空気が急激に加熱され膨張することで形容しがたい騒音――悪鬼の戦咆哮《ウォークライ》が発生する。
この装備の展開時には腕部とサブアームの可動域に制限が生じる他、非稼働時にはデッドウェイトでしかない。
またエネルギー消費も凄まじく連続稼働時間は短い上、専用の放熱機構を作動させねばならないほどの熱量が生じる。
これは赤外線探知に弱いという〈アシュラベール〉の弱点をむしろ増加させるものであり、現段階での実用性には疑問が残る兵装だが、エルフリーデ・イルーシャの卓越した戦術眼と操縦技術により必殺と化している。
かつて弾丸の騎士《バレットナイト》と呼ばれた人型兵器を、再び必殺の弾丸せしめる破壊力――それこそがこの試作戦術兵装の存在意義である。
「魔剣執行――〈ソード・ムラクモ〉」とパイロットがコールすることで起動する。
これは誤作動を防ぐための必然的な仕様である。
エルフリーデ「とにかく魔剣執行なんてコールは認められません。〈アシュラベール〉はリアルロボットですから…」
クロガネ「……???(スーパーロボットだろうという顔)」
・〈アイゼンヴェヒター〉
鉄の守護者。
身長6.5メートル。本体重量24トン。
ベガニシュ帝国陸軍の有する兵器工廠、ラドムンク兵器工廠(※4章の城塞雷竜〈シュタルクドラッヘ〉の開発元)が開発した、火力支援型の試作重バレットナイト。
「推進装置を搭載した次世代機」という第3世代バレットナイトの定義に当てはまるが、ある種、類を見ない特異なコンセプトが特徴。
その原型はバレットナイト用のパワーローダーというべき奇怪な装備である。
二足歩行型対戦車自走砲とも呼ばれる。
4メートル大のバレットナイトの重量、機体強度では扱える火砲のサイズに上限が生じる。
ならばいっそのこと、バレットナイトを拡大した大型フレームに扱わせればいいのではないか――それが〈アイゼンヴェヒター〉のコンセプトである。
問題となる前方投影面積の増大に関しては、光波シールドジェネレータ技術で確保される防御力でクリアされると仮定。
機体サイズの大型化にともない、搭載するセンサーシステムもより高性能なものが使用可能になっている。
通常の機甲駆体に比べて圧倒的に重量が増しているのは、より反動が大きな火砲を扱うための措置であり、アルケー樹脂とセラミック素材の複合装甲を採用している。
その見た目にそぐわず、高出力人工筋肉とエーテルパルス・ロケットの組み合わせにより、短時間であれば滞空が可能である。
反面、瞬発力や運動性には難がある規格外の大型機。
携行武器であり主砲である120ミリ電磁狙撃砲は、最大出力であれば重戦車の正面装甲を貫徹可能という破格の破壊力を誇る。
その使用に際しては、カウンターウェイトを兼ねて左腕に装備された大型実体シールド――複合破砕攻盾〈ブレッヒャーシルト〉を、地面に打ち込んでアウトリガー(固定装置)とすることが推奨される。
また〈ブレッヒャーシルト〉は近接兵装としても機能し、超振動ハンマーで敵機の装甲を破砕する。
ベガニシュ帝国先進技術研究所やラドムンク兵器工廠など、帝国側の開発した新兵器をエルフリーデが次々と撃破した影響は大きい。
ここで逆転の発想として「エルフリーデに試運転させてデータ取ればいいんじゃね?」という偉い人のアイデアで、ヴガレムル伯領もといバナヴィア都市連合に押しつけられた試作兵器。
その火力は極めて優秀だが、総じて「これ戦車でよくない?」「なんか中途半端に機動力を確保しようとしてる」「整備性が明らかに悪い」などかなり辛辣な評価をテストパイロットから受けていた。
武装
・胴体操縦殻:第二世代バレットナイト〈アイゼンリッター〉型を転用
・胸部防御装置:光波シールドジェネレータ×1
・背部ハードポイント:短距離対空・対戦車統合4連装ミサイルランチャー×2=8発
・肩部サブアーム:20ミリ電磁機関砲×2
・大型武装肢(右):超振動クローアーム×1
・大型武装肢ハードポイント(右):120ミリ試作電磁狙撃砲×1
・大型武装肢ハードポイント(左):複合破砕攻盾〈ブレッヒャーシルト〉…接地用アウトリガー、超振動ハンマー、光波シールドジェネレータからなる特殊兵装。
・腰部固定装備:エーテルパルス・ロケット推進器×3
・脚部:無限軌道×2
クソデカパワードスーツ+クソデカ副腕にキャノン砲と大型盾+クローラー付き脚部。
ベガニシュ帝国が急に趣味丸出しで送り出してきたやつ。
「これ戦車でよくない?」という関係各所のお気持ちを、設計技師の熱意が凌駕してしまったと思われる。
エルフリーデショックによる空前の人型兵器ブームの産物。
・ベガニシュ帝国陸軍重戦車〈レーヴェドライ〉
全長12メートル、車体長8.6メートル、全高3メートルの装軌戦車。
最大速度は整地で時速80キロメートル以上。
乗員は操縦士、砲手、車長の3名。
名前はベガニシュ語で「獅子」3式の意。
バレットナイトの登場と普及による戦場の変化を受けて、ベガニシュ帝国陸軍では、戦車の役割を「大口径の火砲を用いた火力支援を行う移動トーチカ」と再定義した。
要するに戦車を大型化・重武装化して、軽戦車の役割を奪い去ったバレットナイトと差別化する流れが生じた。
こうした流れを受けて、ベガニシュ帝国陸軍は新世代の戦車の開発を進めた。
重戦車〈レーヴェドライ〉は大陸間戦争の最中に実戦投入され、ベガニシュ帝国陸軍の本土決戦を支えた重戦車である。
無限軌道を用いる駆動システムには、超伝導モーターによる電気駆動が採用されている。
バレットナイトから技術転用された大型バッテリー/大容量キャパシタを用いており、70トン級の車体を軽快に機動させることが可能。
大口径化した主砲は、人間の手による高速装填が困難なほど重量が増したため、自動装填装置によって無人化された砲塔が採用された。
主砲には当初、大口径レールガンの搭載も検討されたが、大容量パワーセルでもまかないきれない消費電力の問題があったため、液体炸薬式の140ミリ滑腔砲が選ばれた。
これは現在、この惑星上に存在する一般的な陸戦兵器ならば、容易く撃破可能な火力を意味する。
その防御力は堅牢極まりなく、複合装甲と爆発反応装甲による装甲防御に加えて、アクティブ防御システムを搭載している。
これはバレットナイトのセンサーシステムにも使われている光学センサー/聴音型センサーと、12.7ミリエアバースト弾を組み合わせたRWS(リモート・ウェポン・システム)である。
飛来する自爆ドローンやミサイルの撃墜に特化した自動銃塔により、鉄壁の防御を誇る。
まさに陸戦において最強の名を冠する戦闘車両である。
その大きな欠点としては、車体の大型化にともなう重量増大が挙げられる。
重すぎる車体に反して、〈レーヴェドライ〉の機械的故障は少ない――この点に関してはベガニシュ帝国の驚異的テクノロジーと呼ぶほかない――が、輸送可能な車両・船舶・航空機が限られるというデメリットはいかんともしがたい。
また融合操縦システムである電脳棺を利用していないために、半永久機関の恩恵が受けられず、〈レーヴェドライ〉の戦闘可能時間はバレットナイトに比べて短い。
こうした運用上の制約から、実戦ではバレットナイトと組み合わせて戦闘することが多い。
機甲駆体と従来の戦車は、相互補完的な関係にある兵器なのである。
武装
・駆動システム:電気駆動・超伝導モーターによる無限軌道
・索敵システム:光学型・聴音型センサーシステムによる自動検知機能
・装甲:複合装甲/爆発反応装甲
・主砲:50口径140ミリ液体装薬式滑腔砲×1
・砲塔同軸機銃:6.8ミリ電磁機銃×1
・防御装置:自動銃塔(RWS):12.7ミリ電磁機銃(エアバースト弾仕様)×1
・徘徊型ドローン収納庫
・その他:多用途投射器《マルチディスペンサー》
「レーヴェ型戦車(重戦車)」
・攻撃力:140ミリ級の主砲、徘徊型ドローンにより担保される火力は、陸戦兵器として最高峰。
・防御力:分厚い複合装甲や増加装甲、迎撃システムによって極めて高い。
・機動力:整地で最高時速80キロメートル以上、不整地であっても60キロメートル以上の速度。
・索敵能力:バレットナイトと同等のセンサーシステムでの索敵が可能。
・稼働時間:大容量バッテリーパックの電源を使い切るまで。
・整備コスト:数十トンの重量ゆえの機械的負荷が大きい。
・輸送コスト:極めて大きい。運べるのは大型輸送機、船舶、列車などに限られる。
「機甲駆体(バレットナイト)」
・攻撃力:20ミリ~57ミリまでのレールガン、ライフル砲による軽装甲目標への破壊能力。対戦車ミサイル、超硬度重斬刀などを用いれば戦車も撃破できる。
・防御力:20ミリ~30ミリ電磁機関砲、個人携行ロケットランチャーに耐える正面装甲。光波シールドジェネレータにより、短時間であれば戦車に迫る防御力を獲得できる。
・機動力:水平方向、垂直方向ともに高い。最大時速百数十キロで大地を駆け、高さ20メートル程度の跳躍が可能。
・索敵能力:複数のセンサーシステムを電脳棺で統合して索敵。対ドローンシステムとして利用されている。
・稼働時間:極めて長時間の連続稼働が可能。
・整備コスト:機体各部がモジュール式されており、パーツ交換によって簡易なメンテナンスが可能。
・輸送コスト:ある意味でバレットナイト最大の強み。全備重量でも6トン以下。軽量なため輸送ヘリで複数機を運べる。