『特攻と一期一会〜もしも明日散る命に、琥珀の茶を点てたなら〜』
https://kakuyomu.jp/works/2912051595528802913昨日本作をカクヨムで公開しました。もともと歴史小説ジャンルは読者ボリュームが少ないジャンルなので、刺さる人に刺さってくれればいいかなという感じです。
本作は「カクヨム10テーマ小説コンテスト」の歴史・時代IF~もしもあのときこうだったら~部門への投稿を目的として執筆しました。
もともとポストアポカリプス部門に投稿する予定でしたが、執筆を終えてテーマへの適合性を考えると、どうしても太平洋戦争で大日本帝国が滅びる前という描写にならざるを得ず、ポストアポカリプスの概念である文明が滅んだ後という前提条件に合致しないため、歴史ifに切り替えました。
歴史 ifに対する適合ですが、表題通り、もしも特攻に出撃する直前の若者たちと茶会を通じて語り合うとどうなるかというメインテーマのほか、極限の状況での茶会を経験した主人公がその後の人生にどのような影響を及ぼすかというifが裏テーマとしてあります。
本作の主人公にはモデルがいて、それは裏千家の前の家元の千玄室先生です。彼は主人公と同じように、特攻隊員としての経験があり、戦後、国際的な文化活動で活躍されました。
本作の取材をする際、本来的には彼の自叙伝に目を通すべきでしたが、既に病気が進行している関係で紙の本のページをめくることが現実的ではないため断念し、代わりにMBSが彼にインタビューした動画の内容を元に執筆しました。
作中、茶会にやってくる主人公の三人の友は、いずれもその動画内に名前が言及されている人物で、詳細については創作しています。
私がそのインタビュー動画で理解した範囲では、彼は鹿屋航空基地内で茶会を催したことはあったようですが、出撃直前かどうかは特に言及がありませんでした。
彼らが「お母さん」と言って泣いていたことは事実だったようで、彼はもっとえげつない内容を言及していますが、本作では扱うことはやめました。
本作は約7時間をかけ、一晩で一気に書き上げました。1日で1万字以上書く経験はこれまでなかったのですが、意外となんとかなりました。短編を執筆するうえで感じたのは、伏線を張って回収するまでの間にほとんど余裕がないことで、1話から2話、2話から3話へと大量の伏線を張っては回収するということを繰り返していく、パズルのような執筆作業でした。
特に本作のテーマが最終的に千利休のわび茶につながるということは新しい発見でした。
この努力によって本作は彼のインタビュー動画の単なる聞き書きではなく、独自の作品性を持った小説になったと自負しています。もしご興味があれば、ご一読ください。