明治から戦前にかけての婚礼は、現在のような「個人の結びつき」ではなく、「家と家の結びつき」としての側面が非常に強く、極めて厳格な手順と儀礼が重んじられてきました。当時の嫁入りの主な流れは、次のとおりです。
縁談から祝言まで(準備段階)
当時は自由恋愛よりも、親戚や近所の知人が仲立ちをする「お見合い」が一般的でした。
・縁 談
仲人が両家の間に入り、家柄や釣合いを確認する
・結 納
婚約成立の象徴。男性側から帯地・縁起物・結納金を贈る
・荷 出 し
挙式数日前に嫁入り道具(箪笥・長持・布団)を新郎宅へ搬出。近所への披露も 兼ねる
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婚礼の儀式(当日)
婚礼は基本的に新郎の自宅で行われました。現代の「結婚式(誓い)」と「披露宴(お披露目)」の両方が地続きで行われる場が「祝言」です。
・嫁入り行列
新婦が実家を出て新郎宅へ向かう道中。長持唄が歌われ、近隣住民が見守る
・三々九度
「盃事」とも呼ばれる。一つの盃で交互にお神酒を飲み夫婦の契りを結ぶ。現代の「誓い」に相当
・親族固めの盃
新婦が新郎の家族・親族と盃を交わし、正式にその家の一員として認められる
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「家」に入るための象徴的な儀礼
婚礼の儀式そのもの以外に、「実家との決別」と「婚家への同化」を意味する独特 の習わしが多く存在しました。
・麻殻を焚く
門口で麻殻を焚く。「出戻らない」決意と邪気払いの意味
・茶碗割り
実家の茶碗を門口で割る。「帰る場所をなくす」決別の儀式
・里 帰 り
数日後、夫婦で初めて実家を訪問。両家の公式な交流がここから始まる明治から戦前にかけての婚礼は、現在のような「個人の結びつき」ではなく、「家と家の結びつき」としての側面が非常に強く、極めて厳格な手順と儀礼が重んじられてきました。