青丹よしお

「僕」はある時から毎年春になると堀ノ内斎場に桜を見にいくようになる。僕だけが知らなかった堀ノ内の桜は、今や僕だけが見ている。

　自主企画「あなたの小説の方角はどちら？」に向けて書き下ろさせていただきました。 ご感想ご指導ご鞭撻諸々、賜れれば幸いでございます。 追記 4月13日、分かりにくい所を…

ダイラタンシー現象と同様の、流体性質を持つ少女に巡り合った主人公 苛立つとすぐに暴力を振るってしまう彼と、強い衝撃でなければ触れられない彼女の関係は、凹凸のようにぴったりかみ合…

※災害の表現を含みます。 神様は居る。それは自分も分かっている。 神社の跡継ぎの葛藤と、それを言葉では教えてくれない父親のお話です。

私は寒い季節でも冷たい飲物を飲む。職場で部下にそのことを指摘されても変わらない。 その理由は、妻しか知らない･･･

　応龍江流域の街・假睡（すいか）には立派な枯れ「井戸」があった。 　その街を守る黄一族の少年・黄垣筐（こうえんきょう）には同年同月同日に生まれた、母方の従妹がいた。 　七歳まで双…

ある遊牧民の話。 小説家になろうでも公開しています。

中学二年生の私は、冬休みが終わっても学校に行かないことに決めた。 意地悪な先生、体育のバレーボールでミスをすると舌打ちするクラスメイト。 聞こえてくる恋バナの嬌声は、全然きれいな…

　今回は南方(みなみかた)のかいらしい猫の話です。猫も狐狸に負けずよう化けよります。高校球児に化けて甲子園に出る程度は冷めたおみいさんをするする食べるようなもんです。今回も例によ…

1988年の夏の夜、米軍基地のメインゲート前に立つ睦美は、声をかけてきた派手な美人に強引に飲みに連れて行かれ、記憶がないまま一夜を明かしてしまう。 その女性は玲子と名乗り、睦美が…

――散ってしまったその花びらに、一体何の意味があるというのだろう。 『俺』は部下のミスが切っ掛けで、社内から冷遇を受けている。自動音声を発する自販機に救いを見出し、鬱屈とした日々…

1988年、米軍基地のある町。 大学生の前田冴子は、アルバイトの先輩の小沢真帆といつものようにドーナツ屋でしゃべっていた。 時々彼氏が言うような甘い言葉を口にする真帆に、冴子は……

砂抜きで塩水に浸けられている浅蜊（あさり）たちは、数珠玉の実の色に似ている。 子供の頃、数珠玉の実の中身を穿り出すのが好きだった。 出てきた中身は愛おしかったが、外殻は祖母に渡…

寒風の中、ギャル服で身を固め、私はアイスを食べる。 目の前には客の男。たった三十分間のバイト。 でもある日、もうやめようと思った。バカな男のせいで。 ※前からやってみたかった、…

姫路城に伝わるとある噂話。 城内の桜の樹の近くにいると少女の歌声が聞こえてくる。歌が好きかと尋ねられ、その歌声に魅了されてしまうと…… 『SARF×カクヨム 短編こわ〜い話コンテ…

戦後のある夏の日、一人の男が生を終えようとしていた。 かつて彼は南方の過酷な戦場から生還した。過去と今をつなぐ最期の命令。 封印した記憶がよみがえる。 ＊本作はフィクションで…

富豪に雇われ、ダーティワークに勤しむ藤原の息抜きは、お気に入りの喫茶店で一服すること。美しくおいしいスイーツを味わって脳内麻薬を奔出させるのが唯一の愉しみなのだが……。

昔の女の口の味を思い出し、私は女が死んだと思った……。 表題作の「ハ、春」をはじめとした、恋愛に関わる話を集めた１５編。 ※この短編集は、私が書いた「ごたごた短編集」などの中…

　これは、友人Ａ、友人Ｂ、友人Ｃ、その他の友人、そして自分自身へ宛てた手紙だ。 　拝啓　みんな元気そうでなによりだ。 　昨日９月９日、イスラマバードに着いた。 　今日１０日に、…

8年振りの再会に感動はなく、そこには穏やかさだけが在った。 都会から故郷である秋田県に帰省した『俺』は、道端で『ババヘラ』というアイスを売っている『ばあちゃん』に8年振りに再会す…

那智 風太郎さんの『桜』と『猫』がテーマの自主企画に寄せて。 【さくらねこ】を題材にしましたが、このことについては推奨する気も反対する気もありません。 創作です。 フィクショ…

カクヨムロイヤルティプログラムの開始に伴い広告が表示されるようになりましたが、それを見ないで済む方法を発見しました（２０１９年１０月３０日正午現在）。 しまった、これは孔明のワナ…

その天使の像には、何かが足りなかった……。 表題作の「天使の像」をはじめとした、奇妙な話を集めた１５編。 ※この短編集は、私が書いた「ごたごた短編集」などの中から、１５編を選ん…

もう、最高に面白い作品を書くことができました。 どれくらいすごいかって言うと、光源氏並みの波乱万丈を1万文字以内に集約し、スピルバーグ映画くらい怒涛の展開の連続で、それでいて漱…

【まえがき的なやつ】 『SARF×カクヨム 短編こわ～い話コンテスト』への参加作品です。 ぼくの読解力は極貧ですので、応募要項を読んでみたものの、よくわからないところがありました…

さまよう人魂、輝く流星、そして地に落ちる隕石。これら飛ぶ火はかつて「光り物」と呼ばれた。 江戸時代後期、安房国に隕石が飛来する。村人たちは天からの授かりものとして祀ったが、実はそ…

――その花は、きっとあなたの中にも眠っている。ただそっと、いつか訪れる目覚めの時を待つように。 智佳(ともか)は親友のみなみと楽しく日々を過ごしていた。 しかし、或る日教育実習生…

フランス革命は成った。しかし革命政府は混迷し停滞し、そのため司法や行政を「効率的」かつ「合理的」に進めるために、「公安委員会」なる組織を設置。これを取り仕切るのが、マクシミリアン…

絵を描くことが好きだった未咲は、挫折の末に抑えで受験した大学に入学する。 居心地の悪さを感じながら無為な日々を過ごす彼女は、自身を『愚者』と呼ぶ藤代に出逢い、親交を深めていくのだ…

彼女は今日もシュレッダーをする。そんな彼女から俺は目が離せない。 オフィスを舞台にした恋愛掌編。さくっと読めます。

小学生の頃の自分の感情を載せておきます。

「後悔の釣り堀」というお店があります。 　その釣り堀は、夏の間にだけ開く釣り堀です。地元ではちょっとした有名店。 　なぜなら、その釣り堀で釣れるのが魚ではないからです。 　店名の…

KAC20247参加作品

寂れた商店街を歩いていると、不審な老婆に出会った。 老婆は自分の望む秘密を教えてくれるらしい。 俺は老婆に吸い寄せられるようについていってしまった。

　小説投稿サイトのカクヨムで出会ったオレたちは共に支えあい、競いあってきた。 KAC2024 第6回お題『トリあえず』

『KAC2024 ～カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2024～』 第7回お題「色」

黒歴史放出祭への応募作品。 この素晴らしい祭りに便乗して、私の過去を書いてしまおうと決意しました。 全裸を晒すくらい恥ずかしいのですが、小説を公開しているので今更だろうと、面倒く…

巧くいかない大学生活を送る女子大生。 このままで良いのかと感じているある日、近くの公園でカラスの死骸と出会う。 カラスを喰らう。真摯に向き合った彼女が辿りついた境地とは。

スクラッチアートが好きな主人公です。

優等生だが女の子と話すことが苦手な主人公。 だがある出来事をきっかけに一人の女の子と仲良くなる。 一緒に過ごしていく中で彼女への想いを自覚する主人公の恋愛物語。 ※小説家になろう…

のちに「民芸運動」で知られることになる柳宗悦は、京都に居を移した。これまでの人生において、人の死というものにとらわれていた宗悦。 一方で宗悦は、京都の朝市に詣で、下手物という雑器…

　一艘の舟に乗り込んだ登勢。 　 　時は明治に変わり、人の情も変わりつつある。 　揺らめく舟は変わりゆく時代への客人を乗せ、灘の波間を行く。 　これはそんな一時代の一瞬を切りと…

戦争で負傷し吟遊詩人の道を挫折したマルトは、移住した地方で美しきメイドと出会った。ダイアリーと名乗る彼女は人間ではなく、蒸気機関で稼働する義人人形だった。 二人は、義人人形の延命…

上野公園には、まるでお化けのように大きい灯籠（とうろう）がある。高さ6.06ｍ、笠石の周囲3.36ｍ。この灯籠を寄進した者を佐久間勝之という。勝之はかつては蒲生氏郷の配下で、伊達…

KAC2024の二回目、住宅の内見お題作品です。 今回で８００字ミッション達成。１万字ミッションは第一回で既に達成済み。 余談ですが、芥川賞作家では丸山健二が好きです。

８世紀中葉のエチオピアにて。太古の秘宝の聖櫃を奪おうとするイスラム帝国軍と、裏切り者がいた。 KAC2024の一回目。書き出しが『○○には三分以内にやらなければならないことがあ…

ハヤタは戦う。光の国から遠く離れて。 あの往年の超人気シリーズが元ネタですが、「二次創作」ではないです、たぶん。 KAC20241参加作です。お題は『○○には三分以内にやらなけ…

この作品を大藪春彦先生に捧げます。