https://kakuyomu.jp/works/822139837796390515/episodes/822139837799612377ひんやりと静まり返った館。
その奥で、孤独に沈む一人の女人――天子の正妻・宮子。
十五歳のあたし、光明子《こうみょうし》。
前世は極道一家の娘。言葉で人を斬る教育のおかげで、敬語と空気の読み方にはちょっと自信あり。
お話し相手として宮子さまのもとに遣わされたけれど、そこで知ったのは、愛されぬ妃の悲しみと、宮廷を覆う女たちの静かな戦争だった。
夫・首《おびと》皇子の優しさの裏には、藤原四家の権力均衡という政治の駆け引きがある。
昨日は微笑んでくれたのに、今日は別の女の味方――それも全部、計算のうち。
それでもあたしは決めた。
《《この国の皇后に、あたしはなる!》》
それは、愛されなかった義母・宮子さまを笑顔にするための戦い。
黒猫クロエの情報ノートによれば、ライバルは犬養の夫人。
毒入り粥事件から始まる、女たちの静かで熱い宮廷サバイバル――ここに開幕。