• 歴史・時代・伝奇
  • ホラー

208話 地頭の親父さん、嫁とり事件簿  投稿しました

https://kakuyomu.jp/works/16818792438048725794/episodes/822139837271999116

青景の秋は、穏やかで実り豊かだった。
干し柿を吊るし、稲を刈り、藍も綿もたっぷり収穫。
――そんな平和の中に、ひとつの“政略”が忍び込む。

地頭・秀通のもとに届いたのは、隣の里からの縁談の申し出。
十六歳の姫、楓。
やがて「お方様」として屋形に迎えられた少女は、藍染めも機織りもこなし、
まるで青景そのものに溶け込むように働き出す。

だが、九郎の鋭い一言が静寂を裂く。
「……おかしい。女がそこまで動くか? 何かが匂う」

秋風のように優しい笑顔の奥に――何かが潜んでいる。
青景に再び、波が立ち始めていた。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する