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思い出話とカー学の今後

 カー学の前は学園コロシアムという作品を書いていた。
 核戦争後汚染された遺伝子により超常の能力に目覚めたもの【ニュークリア】が現れた世紀末世界観で学園同士が戦っており、そこに異世界から悪魔界の女に飽きた美少年魔王ロマンス・プラトニクが配下の美幼女悪魔ポルノと異世界転移してきて、そこでナナ・パニッシュメントという天使のように純粋で可憐な美少女と出会って――という話です。なぜ学園なのかの設定的な理由は最後まで不明なままでした。

 ちなみに学園コロシアムというタイトルはカード学園サヴァイヴと同じく適当につけたドキュメント用タイトルがそのまま馴染んでしまったもの。その名づけの適当さが多分カード学園サヴァイヴの失敗の最大の理由です。はい。もう少し凝るべきでした。自分でも略さないと呼ぶのがちょっと恥ずかしい。

 カー学の一つ前に完成させたその作品は全10万文字。文庫本1冊分。だけど5,6年かけて書いた。当時の僕は本当に長編小説が苦手で、特にこの作品は続きが全然書けなくて、数か月、あるいは1,2年に一度、思い出したように続きを書いては続きの展開が全く思い浮かばずまた筆を置き、それを5,6年続けて完結させた作品です。
 でも、作品の進みは本当に遅々としており、最後の1年に至っても3万文字程度しか進んでいなかった。それが完結に至ったのは本当に偶然。ある日、1話を自分で考えた楔式という方法(手法自体は手垢がついてる。でも感覚的には初めて出来た)で、始点となるA地点と終点となるZ地点を最初に定め、その間に起こる出来事を明確に言語化して一つずつ楔を打つように刻んでいって、という方法で書いたら、不思議と自分でもこれは凄いと思えるような一話が出来上がったのです。
 それからは早かった。仕事終わりと休日、気が向けば書いて、気が向かなければ書かず、そんな緩いテンポで3か月で完成した。その作品を機にようやく僕は普通に小説が書けるようになった。

 そして次に手掛けた作品こそがカード学園サヴァイヴでした。

 カー学はようやく小説が人並に書けるようになった喜びのままに、大挫折して人生を失敗する切っ掛けとなった10年前の出来事以来久々に、本気中の本気で挑んだ作品だった。
 完全に小説を諦めきっていたブランク期間が長過ぎたため、まずは準備期間を設けた。毎日本を必ず1,2冊つまらなくても読んだ。2か月間英文法の勉強をした。色んなサイトの創作論を読み漁った。それらの中でいいと思った言葉をファイル分けしてスマホのドキュメントにまとめ、暇さえあれば読み返した。もちろんその間も設定は練り続けた

 とにかく、そんな生活を2,3か月続けた。

 それから執筆に取り掛かった。カー学のプロトタイプとなる作品を2本序盤だけ書いて書き捨てた。煮詰まって感覚だよりで書いたヴィーナス・ヘルシオンは9話で投げ捨てた。そして、その後、結局は自分の最善の感覚に従って書くしかないと悟るに至ってキーボードを叩いたある日。

 カー学の第0話の原型を書いている最中、天之玄咲という名前がふっと出てきた。ああ、これなら大丈夫そうだと不思議な確信を抱き、そして書き進めること半年。

 ようやくカー学が完成した。

 とにかく努力した。苦しみに立ち向かった。世界一努力したと言い切れるくらい努力した。苦しかった。全部苦しい方行った。1つの妥協も1章に挟みたくなかったから。全部の痛みと苦しみに耐え抜いてやり切った。不思議と1章執筆中のことは今でもよく思い出せないい。努力が行き過ぎるとそういう状態になる。でも、充実していたのは間違いない。夢も希望があったから。未来は明るく広がっていると思っていたから。

 そして、2023年6月13日。

 カー学第0話 転生 ―Burned Out― を公開した。

 

 そこからが本当の地獄だとは思わなかったな。 
 現実は疲れ果てた心と体に良く染み込んだ。
 PVは初動から全ての失敗を悟るに十分だった。それでも挽回するため死に物狂いで頑張り続けた。1章で酷使し過ぎた心と体にWEB連載の負担も加わった2章の執筆作業は酷過ぎた。でも執筆以外の作業の方が精神を削った。人間関係は破綻した。そして、そして、そして、そして――。

 俺は死んだ。

 そして復活し今またこうして筆を取っている。 






 カー学は無期限休止です。
 2章の最終話。死んでも永遠に書き続ける。あれは僕の本音。だけど、もう限界なのかもしれない。
 WEB連載、途中から、いや、最初からなのかな。ずっとパンクしていた。ずっと常に絶え間ないプレッシャーとストレスに晒されて辛くて仕方なかったな。脳と心が休める暇がなかった。それまでは休みが必要だと思ったら躊躇いなく休んでた。それでも1章は半年で書けた。執筆速度は変わらないどころかむしろ上がっていた。そういうものです。そういうものなのです。

 こうなった理由としては、とにかく5章本編が色々酷過ぎたこと。特にトラッシュタウン。5章(というか当初は4章と分ける予定もなかった)はドロドロのダークファンタジー的な展開を入れる予定なのですが、あまりやり過ぎると引かれないかなと言う懸念、もっとカー学らしい話に仕立て上げた方がいいのではないかという妄念、その2つが衝突し、後者に傾きつつも答えが見出せないまま書き直した結果、あのような珍妙な話となりました。要するに終わりから初めまでの明確なビジョンが描き切れていなかった訳ですね。それと焦り。忘れ去られるのではないかという恐怖。それ故、5章を生煮えのまま投稿して、読者を大きく失望させる結果となりました。
 そしてそれはまた、今の自身のWEB作家としての限界を感じた出来事でもあった。正直自分は全くWEB作家らしくない。性質がとことん相反している。僕程WEB小説に向いていない人間はいないのではないかと思えるほどです。それでも最初は付き合い方を考えていた。僕もそれなりに自分の性向を熟知していたから、普通のWEB連載はまず無理なので、モブセカの三嶋与夢先生みたいに割り切ったストック型の連載を予定していた。でも、修行のために一度くらい即興連載を試してみるのもいいだろうと思って2章を即興で書き始めた。
 結果は見るも無残だった。プロローグから大幅書き直し。その後も5話まで投稿して全話書き直し。登場人物の名前も変える。ぐちゃぐちゃした凄まじく読みづらい説明を載せる、本編に修正報告&謝罪文を載せ星を6引かれる等、完全に破綻した連載を繰り広げた。最初の5話でそれだった。そこで反省してやめときゃ良かったのだが、自分は心象回復とか色々考えすぎて、結局ダラダラと即興連載を続けてしまった。2章終わりまで。そして、1章から間を置かず体と心が悲鳴を上げ、完全に限界を達していたが、読者に見捨てられたくない為、作品を書籍化したかったため、無理を推して即興連載を続けた。そして、その果てに壊れてしまった。今だから言うが2章完成後自殺未遂を起こした。手首に20回くらい包丁を突き立てたが案外皮膚の皮が厚くて死ねなかった。丁度その日カウンセラーが入っていたので、カウンセリングを受けて、そして色々あってもう少し生きてカー学を書いてみることにして、そして今に至る。
 生きてカー学を書き続けて良かったと思う。天之神社の話まで何とか書けたし、そりゃ苦しかったがいい出会いがたくさんあったよ。WEB作家らしい経験もさせてもらった。初めて本当の意味で人の輪の中で生きることができた気がした。それはずっと僕の人生に欠けていたもので、きっとこれからもかけがえのない大切な思い出であり続ける。生きてきた意味があった。カー学3章、4章と夢と希望を祈り織り続けてきた甲斐はあった。だから、もういい。
 新しい道を行こう
 





 これからは。

 もっと大きな夢の中で生きよう。その果てに。
 太陽に辿り着けたら、いいな。
 イカロスのように生きたい。
 どんな結末が待っていたとしても。
 悲劇に終わらないよう祈っている。
 それでは、また会う日までさようなら。















 今訳あってニートしてるので(辞めざるを得なかった)しばらく根入れて就職してきます。終わり。


 おまけ

 学園コロシアムの第12話。当該作の完成、そしてカー学執筆の間接的な切っ掛けとなった重要な1話。キャラとか意味不明でしょうが、雰囲気とかは伝わると思うので載せておきます。ちなみにカー学にチョイ役で出てくるミカエラの元ネタはこの作品に出てくる黒田ミカエラ。初期が粗すぎる上設定が破綻しているため公開できませんが結構思い入れある作品です。




第12話 ロマンスのSHOW DOWN

「なんだ、これは」

 震える声でギニーが言う。ありえない光景が目の前で展開されているからだ。

 ギニーの人を人とも思わぬスパルタ指導を生き残った精鋭部隊【死兵大隊】たちが、緑髪の男一人に蹂躙されていた。

 伸縮軟体の汚染因子を持つ部隊長【千変】ゲリングの、枝分かれさせた体で相手に絡みつき拘束し部下に止めを刺させる必殺技【肉格子】が、単純な力業により引き千切られて破られ、ゲリングは頭蓋を潰されて死んだ。

 テレパシー能力の汚染因子を持つ遊撃三人衆【ケルベロス】リット、タンプ、グースの3人の、タイムラグの一切ない三方向連携攻撃【トライアングルアーツ】が、超高速の各個撃破によって何の意味も持たなかった。犬死だった。

 発雷機関という電気を発生させる機関を体内に持つ【霹靂火喉】メイシンの、喉から放つ【超電磁砲(レールガン)】が、あろうことか見てから避けられた、スローイングされた死兵の頭蓋を開け放った口にくらって顔の下半分を爆砕させてメイシンは絶命した。

 ギニーと肉弾戦で互角に戦える死兵大隊最強の、筋力強化という単純ながら数ある汚染因子の中でもトップクラスに強力な汚染因子を持つ【ワンマンアーミー】バルバロッサの、体中の筋肉を一点に集約する能力で筋肉を踏み出した足、捻った腰、回した肩にと順番に集約させ、最期は突き出した拳に筋肉とその連動で産み出した力を全て載せて放たれる大地に巨大なクレーターを刻む絶大な破壊力のパンチ【ビッグバン・バンカー】が、まるで絶対起きて欲しくないことが起こる悪夢の世界の中の出来事であるかのように細腕一本で真っ向から受け止められた。バルバロッサはそのまま自分の必殺技の反動を受けて、拳の先から、腕、肩、胴体、四肢頭蓋と順に肉体を爆散させる壮絶な死を遂げた。ギニーはズダァン!と思い切り地面を踏みつけて歯をギリギリとならした。

「なんなんだこれはぁ! 大戦で10倍の数の軍勢をも打ち破ったことのある我が死兵大隊が、スパコンのエージェント【アルファベッツ】の一文字を殺したことすらある我が死兵大隊が、どうしてあの優男一人に蹂躙されるゥ! ブルゥウウウラアッ!」

 超演算能力の汚染因子、そしてその演算能力からなる1秒先の未来視の能力を持つ【絶死卿】ギニー・メガテラーの、ニュークリアの因子を暴走させて遺伝子の内側から体を自壊させる1発2億円の特殊弾頭【メガデス】を未来視の能力により100%の命中精度で通常のスナイパーライフルの三倍の発射速度を誇るギニー専用のレッドスナイパーライフルから放つ【絶死の魔弾】が男に着弾する。弾が潰れ、弾丸に詰まった絶死の猛毒が男の肌に付着した。

 死兵大隊のバルバロッサや、リリ女の特攻隊長カレン・ヴィルギンを代表とする弾丸の通らない筋肉の化物にも通用するように、メガデスの猛毒は皮膚感染するように作られている。表皮を貫通しようとしなかろうとメガデスが着弾して死ななかったニュークリアはいない。そのメガデスを、優男はもう4発も受けた。

 なのに、死なない。

 ギニーは、何十年ぶりかに感じた恐怖の入り混じった声で叫んだ。

「なんなんだお前はァ! ニュークリアを必ず殺す我が【メガデス】を4発も受けてなぜ死なない! そのでたらめな戦闘力、お前もニュークリアのはず。なのに、なぜ死なないッ! なぜ死なないんだァーーーーーッ!! 死ねよォーーーーーーッ!!」

 マズルフラッシュ。メガデスが再び男に着弾する。だが、やはり死なない。

「ハァーッ、ハァーッ!」

「……弾を当てられてのが悔しくて何度も躱そうと試してるけど、躱せないな。いや、凄いなお前。魔界でも僕にここまでの精度で飛び道具を当てられる奴なんて5指で数える程しかいなかったよ。拷問するのはやめだ。その絶技に敬意を表して一瞬で殺してやる。光栄に思いなよ」

 死兵大隊の最期の一人を殺し終えたロマンスがギニーに歩み寄ってくる。ギニーは後ずさる。逃走を考え、脳内であらゆる手段をシミュレートしてみるが、弾き出される逃走成功率はいずれも0%。ギニーは生涯二度目の絶望を味わった。

(か、勝てない。キルスキーさまと初めて相対した、いや、その時以上の絶望感。まさかこの男、キルスキーさまより、強い?)

「あ、あとなんで死なないのかって言ってたな。その質問にも答えてやるよ」

 男がギニーの前で立ち止まる。そして、こんな状況にあってなお全てを忘れてギニーを魅入らせる、怪しい笑みを浮かべて言った。

「僕がニュークリアじゃないからだよ」

「……貴様、何者だ」

 ギニーは問うた。

「何者だと思う」

 男は笑った。

「悪魔だ」

 ギニーは反射的にそう言っていた。

「貴様は、悪魔以外の何物でもなぁあああああああああい!」

 ギニーが旋転。爪先、踵、足、胴、肩、腕、手、そして全長2メートルの長大な銃剣に、順番に、技術の粋を尽くして力を伝達させる。銃剣に勝るとも劣らずの細く長い右腕を目一杯広げて、遠心力をフル活用して、テコの作用も用いて、大戦の中で編み出し精錬したありとあらゆる力の増幅技法を銃剣一本に込めて、振り抜く。
 100を超える力の増幅技法の全てを汚染因子による超演算能力により0,001秒にも満たぬ刹那の内にフル駆動し、その全てが相乗効果を起こして破壊力へと転化される。銃剣の先端が音速を超えてソニックブームを纏い、空気との摩擦熱で赤く光った。【絶死の魔弾】と並び恐れられるギニー・メガテラーの代名詞たる絶技。その名も――。

 音速をも超越した超常的な速度を産み出す。銃剣の先端が空気との摩擦熱で赤く光る。

「死ねッ! 【絶死赫刹轟】!」

 死の軌跡が赤い光を描いて男へと迫る。極限の精神状態が産み出した生涯最高の技の迸り。会心の手応え。演算能力の全てを体の制御へと使っているため未来予知は使っていない。だが、必着の予感。絶死赫刹轟の破壊力は絶死の魔弾とは比べ物にならない。つまり、当たれば殺せるはず。その結論に至った瞬間、ギニーの脳内に快感物質であるドーパミンがドバッと溢れた。敵が死ぬ。つまり自分が生き残る。命の危機からの生還。安堵。長らく感じていなかった戦いにおける最高の快感に、刹那、ギニーは酔いしれる。

(勝てる! 私が生き残る!)

 絶死の赤い刃が、男の首へと迫り、そして触れ――。

「ふむ。中々の威力。指の皮が剥けてしまった。火傷もしてるよ。痛い痛い……」

「――な、あ、が……」

 ――る直前、男の指に摘ままれて、それまでの勢いを完全に殺され、無力化された。

 つまり、ギニーの死が確定した。

「カ、カヒュー。カヒュー……」

 ロマンスが銃剣から指を外す。銃剣が自由になる。だが、もう銃剣は動かない。刃は折れていないが銃剣を動かすギニーの心がぽっきりと折れていた。

 どこか気品を感じさせる優雅な仕草で、銃剣を摘まんでいた指を男が口に運ぶ。ギニーはその様子をただ見ていた。もう、隙を伺おうだとか、抵抗しようだとか、そんな気力が一切残っていない。

 恐怖心しか残っていない。

「おっと、血も出てる。ペロリ――うん。美味。やはり、血は自分のが一番美味いな。高貴な味がする」

「は、はひっ。あ、ありえない。ありえない。ありえ、ない……。き、貴様、いや、あなたさまは一体何者なのですか?」

 完全に精神的に屈服したギニーが、息も絶え絶えに、上位存在への本能的畏怖から敬語を使って男に尋ねた。男は不思議そうな顔を作って首を傾げた。恐ろしいほど美しい仕草。もはや男の美しささえもギニーの恐怖の対象だった。

「ん? 何物って、さっき君が言い当てたじゃないか」

「……悪、魔?」

 男が本日最高に美しい(恐ろしい)笑顔で首肯した。

「そう、僕は悪魔。魔界を統べるプリンス、ロマンス・プラトニクさまだよ。冥土の土産に覚えておくといい」

 ロマンスが無抵抗を差し出し続けるギニーの手から銃剣をゆっくりと奪い取る。そして、光速で縦に振った。ギニーは頭蓋から股間まで光速で一刀両断されて約束通り苦しむことなく一瞬で絶命し、銃剣は地面につく前に空気との摩擦熱で溶解した。



「信じ、られない……」

 笑顔で手を振りながら店に戻ってくるロマンスを見て、ミカエラは口を両手で押さえ、瞳から涙を溢れさせながらそう言った。

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