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「雪の残る湯宿」東京大学編、第1話 後始末

🔴雪の残る湯宿、https://x.gd/Gacci
 東京大学編
 第1話 後始末
 https://x.gd/PrSTH

これから、佐藤と奈津子、マアちゃん、美津子の生き身の三人とマアちゃんに憑依している心霊の奈津子の四人が日本の土俗風俗の残る地方を巡る旅にでます。

その前に、東京に帰って準備をする四人。「東京大学編」では、創作作品「聖痕」でこれから登場する精神皮膚学の権威、曽根崎アンヌ博士に心霊現象の蘊蓄を述べてもらわねばなりません。

第1話 後始末

 マアちゃんはダウンを羽織り、ゴスロリのドレスを鞄に詰めながら、佐藤に声をかけた。「佐藤さん、私、コンパニオンの派遣会社に話をしてくる。それで、下宿の荷物をまとめて、また戻ってくるね」と佐藤に言った。
「コンパニオンは急にやめられるの?」
「まったく問題なし!流れ者の女の子が多いから、断りなしにいなくなる子もいるのよ。派遣会社もそういうのに慣れているわ」
「そんなもんなんだ」

「そうそう。それにね、今度話してあげるけど、訳アリのコンパニオンの女の子って、心霊が憑いている人も多いのよぉ」
「……マアちゃんには、奈津子と浩一さん以外にも心霊が見えるの?」
「ええ、人に憑く霊、建物に憑く霊、この世にはね、無数の霊がプカプカ浮かんでいるの。でもさ、私の大学院の研究は文化人類学で風俗と民俗学だから、全然心霊の話は役に立たないのよ。そんなことを論文に書くわけにいかないでしょ?学会から追い出されちゃうわ」

「そりゃあそうだよね。心霊なんて実在するなんて、ぼくだって、未だに信じられないんだから」
「私の指導教授にも霊の話はしてません。この話をしていて、一緒に研究している人がいるけどね。今回は、奈津子さんが私に憑いているから、医学的に検査してみようと思ってるの」
「一緒に研究している人?」
「曽根崎アンヌという私の大学の医学部精神皮膚科の助教授なの。精神皮膚科という名称から、なぜ心霊が関係するんだ?なんて思うでしょ?でもね、精神皮膚科というのは、キリスト教の『聖痕』という現象の研究もする分野なのよ」

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