• 現代ドラマ
  • SF

ポーラー・スター、その輝き未だ止まず。

去る2025年6月3日、"ミスター"こと長嶋茂雄・巨人軍永世名誉監督が亡くなられ、また昭和は遠くなりにけりと感慨ひとしおです。
私が物心ついた頃には既に現役を退いておられ、おそらく我々の世代では背番号"3"よりも監督時代の"90"の方が馴染みがありますね。『巨人の星』ではなく『新・巨人の星』時代というか。むしろ野球漫画のキャラとしての方が馴染みがあるかもしれない(^^;
選手引退時に「巨人軍は永久に不滅です」なる球界史に残る名言を残されましたが、当の御本人も「永久に不滅」な存在に昇華されましたね……。

それはそれとして。
日本が誇る本格SF漫画の第一人者、星野之宣先生が本年で画業50周年を迎えたとのこと。……半世紀ってとんでもないな……しかもあの緻密な画を……。
この人、何が凄いってとにかく絵がとんでもなく上手い、でもって情報量が半端ない。下手な小説や映画が裸足で逃げだすレベルですからね……。
最初に出会ったのは小学校低学年時に読んだ『ブルー・シティ』で、後に古本屋で青年誌連載の『妖女伝説』シリーズを見つけてドはまり。統一テーマの短編集ですが、これは今に続く"SF"と"歴史"という星野漫画の2本柱の原点と言ってもいい初期の傑作です。かぐや姫と八尾比丘尼がテーマの『月夢』とキリストの謎と禁忌に触れる『砂漠の女王』などは圧巻。
膨大な作品と圧倒的なクォリティの割に映像化に恵まれないのですが、ほぼ唯一の映像化(OVA)作品にして中期の代表作『2001夜物語』はそのスケールの大きさと想像力の飛躍にただただ圧倒される一大SF叙事詩。クラークやハインラインといったかつての海外本格SFを思わせる傑作です。
近年は歴史ものが多く、同一主人公シリーズとしては最長期連載となった『宗像教授』シリーズ(『伝奇考』→『異考録』→『世界篇』←今ここ)ではSF作品で発揮した無類の想像力を歴史の謎へと援用、こちらはSFは苦手でも歴史好きな人には堪らない作品です。
尚、添付画像の本の表紙で花咲か爺さんよろしく桜を蒔いているのが主人公の宗像教授。この人に限らず、一癖も二癖もあるおいちゃんキャラが多いのも星野作品の魅力のひとつですね。ちなみにこのデビュー50周年記念特集号、諸星大二郎と萩尾望都との合作漫画(!!)も収録されておりますので、そちらのファンにも外せない一冊となっております(ステマやないで)。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する