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舞い秘め。【新解釈版】のノート

新解釈版を書くタイトルが決定した。
大人気台本『舞い秘め。』である。

最初に、原作者である机の上の地球儀さんの文体から大きく離れようと思った。
私が思う机の上の地球儀氏の文体の特徴は主に二つ。

・ 圧倒的な量の、特に心情描写のモノローグがある。
・ 文章が全体的に平らで、目に優しく読み易い。

この二つの特徴から、抽象的で難しいテーマの作品でも非常に読みやすくまとまり、極めてユーザーフレンドリーな仕上がりになっている。
所要時間が長い大作でも退屈せずに最後まで完走できるのも同様の理由からだろう。

地球儀さん文体から大きく離れるために

・ 心情描写のモノローグは極めて少なくし、叙事的なものにとどめること

・ 場面転換ごとに含みを持たせること

この二つをテーマとして舞い秘め。の新解釈を始めた。

『最小限のモノローグ』はもともとの自分のスタイルと合致しており、特別苦労することはなかった。
むしろ原典がモノローグが多いので、非常に対照させやすく助かった。

『含み』に関しては陰が多くなるように腐心した。

新解釈版は原典よりも20分ほど短い。
これは『考えてはいるけれど書かなかった部分』が存外に多くなったためである。

夜目遠目笠の内という言葉がある。
白夜月のように幽玄な魅力を味わうには、一定の距離が必要なこともある。

暗示を、演者や読み手が物語に置いていかれない程度に、撒いておいた。

ここで『含み』を全て手明かしするのはさすがに興醒めなので、本編を考察・推察する上での『前提』ぐらいのものを、走り書きする。

・・・・・

鷹野と天月伯(父)との関係性はどのようなものか。

鷹野が衣里に抱いた初期衝動はどのようなものか。

原典は『熾熱灯の光』に対し、新解釈版は『晴れがましきも』まで引用している。

その上で、没落した伯爵家の元当主が、自分の愛について憂えるだけの余裕ある立場にある衣里という娘をどう見ていたか。

鷹野が衣里に対して『好意とは言い難い興味』を抱いたことを知った美津の心情は、どのようなものか。

丞から包み込むような愛情を向けられながら、どうして衣里は逃れようとしたのか。

鷹野がひどく狼狽したのは、神座個人への不義理ではなく、鷹野家から神座家への不義理になるからである。

衣里は愛をどう捉え、実父にどんな感情を抱いたのか。

そしてなぜ態々、鷹野に勘付かれせるように、自らの秘密を紐解かせるようなそぶりをしたのか。

・・・

原典は『それぞれの愛の形』をテーマとした人間ドラマだと判断している。(違ったらごめん)

新解釈版のテーマは、愛を装った『私と家』である。
愛の話だと思うと、騙されますよ。

最後に、私のような悪筆家相手に企画(悪ノリ)に付き合ってくださった地球儀さんにお礼申し上げます。

机の上の地球儀さん、ありがとうございました!

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