「江戸中期 侍」を含む小説

江戸中期、竹光（竹でできた刀の模造品）を持つ一人の浪人がいた。 赤墨色の着流しに伸びた月代。瘦せこけた浪人はいかにも食い詰めた素浪人といった風貌だったが、実は凄腕の用心棒であった…

　寛政の世は令和から230年もの昔である。 　徳川家将軍のそば近くで幕政に鉈をふるったのが老中の松平定信。 　「白河の清きに魚も棲みかねて…」と、江戸市中で風刺されたほど、老中を…

父の代から続いた長く厳しい浪人生活の果て、山奥の小藩へ仕官し、寺社奉行届所書役というおよそ己にそぐわぬ役目を務める高部次郎杢内はある日、かつての浪人仲間であった池田源兵衛秀勝が亡…

　さあさ寄ってらっしゃい見てらっしゃい。 　舞台は江戸、東都浅草のとある貧乏長屋。 　辰政って頑固親父の一人娘お鈴が、そいとげたいってえ男をつれてきた。 　見ればその野郎、二本…