「民話ホラー」を含む小説

山あいの村に残る、猿にまつわる奇妙な話。 その言い伝えは、今も確かに山で息づいている。 助けを求めれば差し出しを求め、奪えば奪い返す。 境界を越えた者が必ず“返される”、四つ…

　……この村は、最初から何かがおかしい。 　ある日、各地の伝承や都市伝説を追う大学生・斉藤涼（さいとう りょう）と仲間たちは、現在の地図には載らない廃村「神伏（かんぶく）村」に…

誰かが聞かなければ消えて、誰の記憶にも残らない話がある。 老婆、青年、登山者、老夫婦──記者が訪ねた先で、人々は静かに語り始める。 怪談か、思い出か、それとも感情の残り香か。 螺…

旅先の小さな町で出会った老人に勧められ、洞穴を見に行った男。 しかし、その洞穴の看板は訪れるたびに内容が変わっていた——。 不可解な現象の末に、老人が笑って放つ一言とは？

「河童は、本当にいる。」 そう信じて疑わなかった少年たちが、溜め池で見たものは――人の形をした“何か”だった。 看板に描かれた目と、あの日の友達の目が重なるとき、物語は静かに狂…

通りゃんせ、通りゃんせ――天神さまの細道で、赤い糸は結ばれる。 春の夜、引っ越したばかりの部屋で目覚めたわたしは、赤子の泣き声と童謡に導かれるように、奇妙な存在と出会う。 「…

前作『十ノ物語』『新・十ノ物語』でお送りしてきた、不思議な世界への“十通の招待状”。 もう一度お届けいたします。 今回はさらに深く、さらに遠く。 より古く、より新しく、より不可避…

微妙に何かがおかしなことって、ないですか？ ……たまに、あるんです。 思い出したことなどを、時系列順不同で書き留めていくことにしましたが、なんともまあ、とりとめもなく……。 …

森羅万象、八百万の神々、日本各地の伝承を歴史家が解いていく。 現実と非現実の間で起こる事件をお話しします。

昔むかし、とある海辺の町の大晦日。余四郎と寅吉は、明王様の祠を見張る「供物番」に選ばれた。二人は自分の居場所を見つけられずにいる半端者同士。少年たちはこのとき、供物番という役割が…

ふと浮かんだ物語や見聞きした民話のなかで気味の悪いものを集めて仕舞っています。 そういうものがお好きな方だけ、閲覧ください。 ※これらの物語はフィクションであり、実在の人…

時は戦国時代、備後の国。 たたら製鉄の盛んな村に、マキという美しい娘がいた。 マキに言い寄る男たちは山ほどいたが、「想い人がいる」と袖にしてしまう。 怪訝に思った乳母は男の袖に針…

「今年こそは恋人ができますように」 そう願って飾ったひな人形が、まさか“恋の相手”を見極めてくれるなんて―― とびきり優しい春の予兆、ちょっぴり不思議なラブ・ファンタジー。

とある村の1人の少年は黒色が好きでした。 それに対して、雪の色は嫌いでした。 ある日、毎年の神事に赴いた両親の帰宅が遅れてしまいました。 雪の降り積もるなか、少年は家族を迎…

　だいぶ夜が更けてきたところで最後まで灯っていた店の看板の明かりが消えた。これで寝静まるはずなのに今夜は違う。閉店したはずの店から人の声がしている……。 　南の夜は長い。島のS…

鬼城九朗はある場所で遭難し、病院に運ばれた幼馴染の久能怜夜の元へお見舞いと小言を言いに行く。そして、九朗は怜夜から遭難した場所に行った理由を訊く。 そんな彼の口から出たのは、その…

オートバイで旅をしていた若者はある日、競馬で思わぬ大金を手に入れる。だが、それが悲劇の朝を招く事に…… 有名な怪談、元祖転生ホラー【六部殺し（こんな晩）】を現代風にオマージュし…

民話として有名な「食わず女房」に取材した作品。 何も食わないし、お金も増やしてくれる、そんなお嫁さんが突然現れたらどうしますか？ 甘い話に潜む罠へハマってしまうと、気付いた時に…

田舎を舞台に語られる、ほんのりこわくて不思議な話。

その川は狗流川（いぬるがわ）と呼ばれていた。 雄太（ゆうた）と拓（たく）は狗流川の近くで狸の死骸を見つけた。 狸の墓を作った二人は学校が終わると狗流川に釣りに行き、釣った魚を墓…