「春の庭」を含む小説

暗い季節を越えた先には柔らかな光が待つ。 凍え切った山がやんわりと解けて清水を落とし、干からびた大地を潤し始める。 草が萌え、小花が咲き、淡く可憐な色彩と共に小鳥の甘やかな声が樹…

「昔の春は良かった」爺さんはそうボヤく。 しかし今の春も、きっと……。 ※『第二回　さいかわ卯月賞　テーマは「春」』にて、優秀賞を頂きました。

　刀演武。機械でできた刀、ブレードを扱い互いの意地をぶつけ合う競技として日本を中心に人気を集めるそのスポーツは、今や若者にとって生きる理由ですらあった。 　対戦中の事故で命を落と…

　どの季節も、道草は〝おいしい〟発見の連続――。 　たとえば春の庭で。出かけた先の道端で。 〝おいしい〟はけして自分からは主張せず、けれどいつも、そこにある。 　祖父母のあと…

　──命よりも大切な彼女が、あふれるほどの”幸せ”に満たされる、その瞬間のためにあたしはこの場所にいる。 　高校に入学して間もないとある春の日、あたしは課題のために立ち寄った図…

春の庭を飛ぶチョウは、燕尾服を着たクマのぬいぐるみに手伝いを頼まれる。チョウが断ると、ぬいぐるみは取引をもちかけてきて――。 あたたかな陽光がおりなす、めぐる命のストーリー。

パッヘルベル「カノン」の調べにのせ、君への想いを時系列に綴りました。 《参考音源》 「CANON」 https://youtu.be/Ptk_1Dc2iPY 「グリーンス…

松井菜穂、１７歳。 同性のクラスメイトに、恋をした。 あれから１３年、今でも彼女のことを想っている。 東京と北海道。 心も時間も彼女との距離も、果てしなく遠い。