「短編ドラマ」を含む小説

お盆休みの中盤の十五日。 一人朝食を摂っているとキッチンに落ちて溶けた氷の水溜まりが目に入った。 私はそこから家族の記憶へと思いを馳せる。 過ぎ去った人々への追憶から私自身の足…

新帝国劇場。 大地震からも奇跡の復活を遂げ、栄華を誇った大劇場は、戦火によって無残に破壊された。 かつて新帝國劇場で何度も舞台を踏んだ往年の大俳優・大崎常彦と、劇場マンとしてそこ…

前世の記憶を失った魂である「俺」は、「花龍」と名乗る白い龍に出会った。 「花龍」はここを「あの世とこの世の狭間」だと説明し、「俺」にこう頼む。 「私と一緒に現世へ降りて、躯龍を…

学校には来るものの、教室には行かず屋上へ行く彼女。 そんな彼女を気に掛ける教師なんて、もうどこにもいない。担任である僕が、最後の砦らしい。 雨がポツリ、ポツリと降る屋上。 哀し…

『成仏師』 それが私の仕事だ。 成仏師とは名前の通り、この世に未練がある死者を成仏させることが仕事だ。 死者を相手にしているのだから、もちろん私は“彼等”のことが視える。

実家の整理にやってきた裕二。押入れを片づけていると奥から銀色のお菓子缶がでてきた。隠すようにしまわれていたそこには、一冊のアルバムが入っていて――。過去を語らず逝ってしまった母。…

タイトル通りのお話です。 内容はドストレートですが、すこしだけ仕掛けをいれているところがあります。 ２０００字ほどのショートショートとなっています。

高校二年生の水田夕生(みずたゆうき)。一人で下校していると、彼が思いを寄せているクラスメイトの白坂碧(しらさかあおい)に声をかけられる。背伸びした二人が織り成す、ひとときの暖かい…

夏に読んでほしい超短編小説。

りんりんりんと世界が泣いていると彼女は言う。 りんりんりんと世界が泣いていたと彼女が言う。 りんりんりんと泣く世界で僕と彼女の居場所を作りたくて、彼女から悲しみを取り除いてあげた…

生まれも育ちも葛飾柴又なのに、函館に転勤になった私。知り合いも友達もいない、職場の人とは仲良くなるつもりない。 さみしいから友達がほしい！ そこでハリポタが好きな私は、ロンドン旅…

「電気に嫌われる」シズタと「空を本気にさせる」ミズノ。出会った二人の大学生は、あの日語った夢を追う。

曽根宮くんはタダの会社員。 社会の厳しさに触れて日々お疲れの曽根宮くんは、疲れ切った体を引きずって、今日も会社に出勤するのだが。 どうやら、通勤の道すがらに気になるモノがあるよ…

　トモダチ代行ネットワーク 　このSNSの主たる目的はたったひとつ。 　サービス利用者同士が知り合いや友達、恋人役などを演じることのみ。 　結婚式に呼ぶ知人役、両親に紹介する恋人…

僕は春が好きだった。 彼がそう言うから、僕は夏を消したんだ。

ただ、コンビニで二言三言交わしただけの相手。 そんな男女の、少し煙たいお話。

好きな子が主人公の家にやってきた、爪を切った。主人公はその爪をこっそり保管する。その数日後、爪の持ち主が死に、主人公が保管していた爪が、一種の形見になってしまった。その事実が、主…