「曖昧」を含む小説

　この小説には、憂鬱しか含まれていない。ただ、私の心の暗がりを、ここに辿り着いた馬の骨達に押しつけるだけの物語である。……いや、物語の体裁すら保っていないだろう。起承転結も曖昧で…

　俺の旦那は地球外生物らしい。 　らしいというのは、彼らがこの地球に来たのは何代も前の昔のことで、俺の旦那もその両親も地球生まれの地球育ちな完全な地球っ子なのだ。 　なんだかよく…

【ZDV series #10】　街を歩いていたとき、ふと聴こえてきた懐かしい歌に、テディは子供の頃に思いを馳せる。 母の口遊んでいた歌は今でもはっきりと憶えているが、むかし住ん…

　貧乏な農家の「レドフィル」を非日常へと迷い込ませたのは、富豪の娘「マーリネイト」が書いた恋文がきっかけだった。マーリネイトお嬢様から大胆かつ一方的な愛情を伝えられる傍ら、レドフ…

日々曖昧の短編集みたいなものです。 一話完結、千文字以内で書いていこうと思います。

――降臨の地の伝説―― 　遥か西の島には「降臨の地」という場所がある。その名は異邦人が流れ着くことに因む。 　人々が言うには、異邦は天にあり、ゆえに降臨の地に現れる者は、天より下…

幼い頃に両親をなくした心優しい青年シチリ。 彼は父の薬草農園を受け継ぎ、薬師として生計を立てていた。 ある日のこと、薬草を採取していたシチリは禁忌の森へ足を踏み入れてしまう。 …

2019年東京文学フリーマーケットにて曖昧書房から頒布されたオーケンアンソロジー「元祖オーケン伝説」に載せていただいた楽曲「人として軸がぶれている」から連想された短編小説を改編し…

高山星輝が頼まれたのは小さな荷物を届けること。届け先の山寺で、高山が見たものとは。

目を醒すと、海を臨む列車に乗っていた。 隣の席には見知らぬ少女。 ニマニマとした表情で、こう云った。 ──問題です。 流れゆく何の変哲もないのどかな光景を見て、男は絶望します…

己の死生観がどこからきたのか探りつつ、 実体験で得られたものを綴っていきます。 少し怖い話も書くことになるかもしれません。

俺にはそれなりに長い付き合いになる、生意気な友達がいる。連絡はたまに取り合うだけ、会うのはせいぜい年に一度の、曖昧な関係の女。別に、居なくなっても構わないと思っていたはずだったの…

生きとし生けるすべての生命が前世の記憶を曖昧ながら持って生まれる世界。 貧乳少女‟プレタ・グライナー”は受け継がれた前世の記憶が余りにも人と違う事に疑問を抱いていた。 回りと比べ…

個性的で可愛い女の子にかこまれて。知らない慣習も角度を変えれば新鮮体験。 何があったのかきわどいセリフ「ぐりぐりしないでぇ！おへそには入れないからぁっ！」から、「諦めるのを諦めろ…

四つの国にそれぞれ起こる、五人の主人公たちと五つの物語。 同じ世界、同じ大陸で起こる五つの事件。それぞれの運命は、どこで交わるのか⋯⋯。 ※これは五章構成です。 ※各章だけでは…

存在理由も役割も曖昧な囚人と看守が、ただ自分を保つことだけを考えて生きている「監獄」。 そこから抜け出そうとした盲目の少年の話。

現実だけど異世界。異世界だけど現実。 そんな夢と現実の狭間の世界で行われる 【りぁふぇす】に睡眠中に迷い込んだ自分。 現実だから現実味のあることしか できないわけでも無く、 夢だ…

　シキは知人からとある仕事を勧められて、約ひと月の間、とある旅館で働くことになる。最初から、身なりの違う男女が集められており、反応も様々。 　支配人から伝えられた『世話役』として…

丹生明日斗、十六歳。 彼は、現実と寸分違わぬ夢の中で人を殺しては悦に浸る殺人快楽者の性格を心の内に飼っていた。 『殺戮をすることで快楽と充足を得ることが出来る殺人鬼が自分の中に…