
心ときめく女性たちのドラマ。あなたの”好き”が詰まった百合作品を大募集!
862 作品
この度は「あなたの”好き”が読みたい 百合小説コンテスト」にご応募いただき、誠にありがとうございました。
このコンテストは百合ジャンルの更なる発展を願い、2024年10月に始動したファンタジア文庫「GirlsLine」プロジェクトが主催する、初の「百合ジャンル限定」のコンテストです。
「百合×ラブコメ」「百合×ファンタジー」「百合×青春」と大きく3つの部門に分け、自由な発想の百合作品を求めた本コンテスト、多くの方にご参加いただき、応募総数は862作品となりました。ご応募いただいたすべての作品、著者の皆様に重ねてお礼申し上げます。
今回の「あなたの”好き”が読みたい 百合小説コンテスト」は、ファンタジア文庫編集部内での選考にて、受賞作の選定を行いました。皆様の自由な発想、「好き」を基に生み出された多様で魅力的な物語の数々に、選考の時間は非常に悩ましい時間でありながらも、楽しく、また新たな発見を私たちに与えてくれる時間となりました。コンテストのテーマにあるように、選考では百合への想い、そしてその想いを届ける力に注目し、選考させていただきました。選考の結果、最終的に大賞1作、部門賞ファンタジー部門1作、ラブコメ部門2作、青春部門1作を選出いたしました。想定以上の応募をいただけたことで編集者の「好き」と共鳴する作品が多数存在し、選考段階で賞の枠を増枠させていただく形となりました。編集者が作品のどんなところに共鳴したのか、是非選評を読んでいただけますと幸いです。
受賞作につきましては、今後ファンタジア文庫からの刊行を予定している作品もございますので、続報を楽しみにお待ちいただけますと幸いです。
最後にコンテストを主催しましたファンタジア文庫「GirlsLine」の理念について軽く紹介させてください。冒頭に述べた通り「GirlsLine」はライトノベルにおける百合ジャンルの発展を願い、昨年10月、ファンタジア文庫の百合好き有志により始動したプロジェクトです。
百合を愛する一読者であり、百合をまた世界に生み出す編集の一人として感じた課題を解決するべく立ち上げた「GirlsLine」。
私たちは下記の理念を基にこれまで活動してまいりました。
①百合読者が自分好みの作品を発見できる場所の創出
②作品の感想を積極的に発信、作り手と共有できる機会の創出
③百合作品の書き手を集め、次の書き手を生み出す環境の創出
受賞作、応募作は勿論、本コンテストをきっかけに我々の活動に少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。
そして百合を愛する皆さんと共に、為に。「GirlsLine」はより一層百合ジャンルの盛り上げに向けて、頑張ってまいります。
今後もファンタジア文庫「GirlsLine」をどうぞよろしくお願いいたします。
総評・講評:ファンタジア文庫「GirlsLine」運営チーム
家柄、容姿、栄誉。そして魔法の才能。
伯爵家に生まれたフランは、すべてを持っていた。
十歳のあの日、白銀の髪の少女──クルーエルに、競技会で惨敗するまでは。
次は絶対負けない。
そう誓ってから五年。フランは、魔法学院で再会したクルーエルに再戦を申し込む。
だけどかつての天才少女は、何故か全力で魔法を使うのを嫌がっていて──?
古式レイは銃を愛するコミュ障ド陰キャJKである。
レイはコミュ障ゆえにプレイヤーの少ない過疎ゲーを好み、銃の登場する過疎VRMMO『GunFightOn-line』を楽しんでいた。
とある日、彼女が高難易度ダンジョンを攻略しているとダンジョンに1つのパーティが近づいてきた。プレイヤーと会話したくない彼女はパーティを狙撃銃で殲滅した。
次の日――なぜか14人のプレイヤー集団が彼女の狩り場であるダンジョンへやってきた。
レイは人と接したくない一心でプレイヤー集団を撃ち滅ぼした。そうしたらまた次の日、さらに数を増やした集団がやってきた。レイはその集団もキルするが、次の日また次の日と襲撃者の数は増えていく。
来る集団すべてを殲滅し続けた結果、彼女はプレイヤー達に『アビス・ホーク』と名付けられ、レイドボスとして認識されてしまった。
意図せず目立ってしまったレイは『GunFightOn-line』を引退。次にどのゲームをやるか悩んでいたところ、妹より超人気神ゲー『Infinity Space』を勧められる。総プレイヤー数3500万人という過疎ゲーならぬ過密ゲームに怯えるも、ゲーム性に惹かれて『Infinity Space』を恐る恐るプレイする。
人と上手く会話ができない。多くの人の前だと緊張して動けなくなる。とてつもなく不運。というハンデを背負いつつも、レイドボスにまでなった狙撃技術(プレイヤースキル)で陰キャJKは敵を蹂躙する。神ゲーだろうがお構いなし、『アビス・ホーク』は勝者(ボッチ)になるまで敵を撃つ。
喋りたくないから撃つ、という主人公・レイの新しい角度でのコミュ障のこじらせ方が楽しい本作は、いつの間にかVRMMOでレイドボス扱いをされてしまうという序盤の展開からして、コンセプトの分かりやすさが群を抜いていました。不器用ゆえに同年代と関係性を構築できないもどかしさを上手くコメディに落とし込んでおり、行動によって評価が後からついてくる部分も含めて、明るく気軽に読めるテンション感が心地よかったです。女の子たちの友情や熱いバトルを楽しみたいという方におすすめしたい作品です。
空気みたいに生きたい女子高生、佐古瑪瑙。
親の再婚で新しく出来た「妹」は、一歳年下の中学生でした。
空気みたいに生きたい。人との交流を嫌い、一人でいることを好む女子高生の瑪瑙は、親の再婚により「妹」が出来ることに。
だが義妹である女子中学生、美綴は、瑪瑙とは正反対の奔放な性格で、一人でいたい瑪瑙にやたらと絡んでくる。戸惑い、気圧され、疲弊する瑪瑙だが、美綴の独特な距離感に次第に絆されていき…?
陰キャ×陽キャと正反対の性質を持つ二人が出会い、姉妹となり、生活を始めるまでの展開が非常にテンポよく書かれており、この二人の関係性がとても自然に溶け込んだ状態で物語を読み進めることが出来ました。遠慮なく近づいてきているようでどこか遠いところにいる美綴と、距離を取りたいようで美綴へ近づいていく瑪瑙。2人が中を深めていく光景はとても微笑ましく、楽しく読ませていただきました。
また姉妹以外に、登場するキャラクターたちもそれぞれ魅力的で、個々として魅力的なキャラであると同時に、メイン2人のキャラクター性を高め、物語の幅を広げる良い存在として機能していたことも良かったです。
非常に可愛らしい作品となっていますので、是非読んでみてください。
女子校の王子様×隠キャお姫様によるドタバタ百合コメディ!
女子校の王子様である大路に、陰キャ主人公の姫子が好かれてしまうところから始まる本作。
王子さまとして振る舞う大路ですが、実は打たれ弱かったり、すぐ落ち込んだりと……。
周囲から見ると憧れの王子様でも、その裏は、素直で可愛いらしい犬っぽい性格にギャップを感じました。
そんな大路が、姫子にグイグイアタックするのですが、その過程がコミカルに描かれており、キャラの魅力を引き立てられていると感じております。
また、姫子についても、キャラとの絡みや、彼女の突っ込みに、クスッと笑ってしまうことが多々ありました。
コメディパートも非常に楽しみながら読ませていただきましたが、後半ではキャラ同士の葛藤や悩みにも焦点が当てられており、序盤から終盤まで丁寧に描けていた印象です。
非常に面白い本作、ぜひ読んでみてください。
顔良し、性格良し、お人好し。
クラスのトップカースト・若松花楓(かえで)は登校拒否中のクラスメイト・水原雫の面倒を見ることに。「秘密」を抱える水原との紆余曲折を経て、ふたりは恋人となる。
不登校の同級生に学校でのプリントを届けるうちに打ち解け、距離を縮めていくという導入から始まる本作、若松と水原のキャラクターがクセになり、どんどん読み進めてしまいました。特に若松のキャラは通り一辺倒の優等生でもなく、明るいだけの陽キャでもなく、ほの暗さを感じられてとても魅力的でした。登場人物たちの学校生活や、女子高生の会話もリアリティラインがバランス良くて心地よいです。序盤は水原に押されていたものの章を進めるごとに二人の力関係も変化していき、そして……。ぜひ読んでみてください。百合好き、魅力的なキャラの関係性が好きな方におすすめしたい青春百合です。
講評
才能と環境に恵まれた主人公フランドールは「人生なんて楽勝」そう自信に満ち溢れた幼少期を過ごしていた。だが天才少女クルーエルとの出会いをきっかけにその自信は打ち砕かれる。だがフランは挫けず、次こそは勝つ!と再戦を誓う。数年後再会した二人、待ち望んだ再戦は目前かと思いきや、クルーエルの様子はかつてと異なり…?
自信家で高飛車な主人公のフランドール。その傲慢さは一見人を選びそうで、しかしフランのバックグラウンドやその自信を裏打ちする彼女の努力、そして滲む人の好さに、自然と好感を持ちました。主人公に限らず、どのキャラもそれぞれの個性を持ちながら自然と物語に溶け込んでいく、キャラクターの作り方が非常に上手い印象です。
また異世界ファンタジーとしての魔法の描写、世界観の設定も秀逸で、学園ファンタジーとしての話の広がりもまた期待感をもって読むことが出来ました。ファンタジー世界特有の、メイン2人の関係性を楽しむための要素もとても良く、百合とファンタジー、どちらも十全に楽しめる作品です。
魅力的なキャラクター作り、構成力の高さを評価し、本作を大賞とさせていただきました。秀才×天才が織り成すライバル百合ファンタジー、是非読んでみてください。